禁煙とは
禁煙とは、文字どおり喫煙を禁止してタバコをやめることです
「禁煙する」と言うだけなら簡単ですが、そこには大きな壁が立ちはだかります。
それが「離脱症状」です。
禁煙成功の最初にして最大の壁ともなる離脱症状(禁断症状)は、喫煙者のからだにさまざまな症状を起こします。
「禁煙うつ」「イライラ」「ストレス」「集中力の低下」「頭痛」「眠気」「不眠」「便秘」
この症状の中で特に"眠気"は、「なにかの病気?!」と思うくらい強く襲ってくることもあります。
軽いものであれば、タバコを吸い終えてから30分~1時間ほどで症状が現れてきます。
また個人差はありますが、禁煙スタートから2~3日が離脱症状のピークとなり、人によっては1週間近く続くというケースもみられます。
こうした辛い離脱症状が何日も続くことが、禁煙に成功できない1つの理由となっています。
タバコをやめるのは辛いかも知れませんが、将来的な健康を考えると禁煙治療薬などを使って禁煙することが望ましいといえます。
禁煙外来と禁煙治療薬
タバコにはさまざまなリスクがあるということは、ここまでに紹介してきたとおりです。
しかし喫煙生活を終わらせるのは"離脱症状"などの理由から、そう簡単なことではありません。
強い依存性と辛い離脱症状は、自分の意思だけで禁煙することを困難にします。
禁煙治療薬のサポートを受けつつ、禁煙をスタートするのも1つの選択肢となります。
そこで活用したいのが、病院にある"禁煙外来"です。
医師のサポートを受けながら禁煙治療を開始でき、さらに離脱症状を緩和するなどができる、禁煙治療薬の「チャンピックス」を処方してもらうこともできます。
ですが、ここで気になるポイントが治療にかかる"費用"になります。
たとえば、風邪をひいた時に病院にいけば、"3割のみの負担"で治療を受けることができますよね。
しかし、禁煙外来で保険適用となるためには「一定の条件」を満たす必要があります。
ニコチン依存症は1つの病気として認識されたことから2006年より、次の4つの条件を満たすことで保険適用となります。
①ニコチン依存症のテストを受けて結果が5点以上
(ニコチン依存症判定テスト:TDS)
②ブリンクマン指数【1日の平均喫煙本数 × 喫煙年数 = 200以上】
(※2016年から35歳未満にはブリンクマン指数の要件はなくなりました。)
③1ヶ月以内に禁煙をはじめたいと思っている
④禁煙治療を受けることを文章で同意
(※問診票などに日付やサインを書く程度です。)
もし過去に健康保険を適用して禁煙治療を受けたことがある場合には、過去に受けた最初の診療から1年が経過している必要があります。
また、最終的にニコチン依存かどうかを判断するのは医師になります。
健康保険適用外となってしまった場合には自費での負担となるので、治療費が高くなってしまいます。
もし①~④までの条件を満たせなかった場合には、海外通販でチャンピックスを購入することで治療費を抑えた禁煙治療を行うこともできます。
禁煙しようと思った時がチャンスです。
禁煙治療薬と合わせて、強い意思をもって禁煙生活に挑戦してみてください。
禁煙の効果とメリット
禁煙するメリットはいくつもあります。
「寝起きが良くなる」「口臭がなくなる」「ご飯がおいしい」・・・こういったメリットを耳にしたことがある人も多いはずです。
他にも禁煙をするメリットはたくさんあります。
ここでは健康面、金銭面でのメリットについて紹介します。
健康面における禁煙のメリット
禁煙後の時間経過によって得られる健康面でのメリットは以下のようになります。
禁煙期間の長さがいかに大切かおわかりいただけると思います。
禁煙開始から1~2ヶ月
咳や痰、喘鳴などの慢性気管支炎の症状が改善される。
禁煙開始から1年
軽度あるいは中度のCOPD(慢性閉塞性肺疾患)患者さんの肺の機能が改善される。
禁煙開始から2~4年
狭心症や心筋梗塞など、心臓の病気のリスクがタバコを吸い続ける人に比べてかなり低下する。
禁煙開始から10~15年
咽頭ガンになるリスクが、喫煙者に比べ60%低下する。
禁煙開始から10~19年
肺ガンになるリスクが、喫煙者に比べ70%低下する。
禁煙開始から20年
口腔ガンのリスクが非喫煙者と変わらなくなる。
このように年月はかかるものの、後に命の危険もある病気へのリスクを大幅に下げることができます。
金銭面における禁煙のメリット
また"健康面"だけでなく、"金銭面"でもたくさんのメリットを実感できます。
タバコ(440円)を1日1箱吸っている人は、年間でいくらかかっているか計算してみましょう。
440円×365日=160,600円となります。
たった1日だけの禁煙ではメリットは感じれないかも知れませんが、1年続ければおよそ16万円貯まる計算です。
さらにこれを10年、20年と続けていけば、それなりに自由に使えるお金を蓄えることもできます。
自分はもちろん、家族が余裕をもって生活できるだけの金額は貯まります。
金銭面でも将来のことを考え、目標をもって禁煙に挑戦してみましょう。
無理なく禁煙をはじめるなら、「チャンピックス」という従来までのガムやパッチなどの禁煙アイテムとは違った、画期的な禁煙治療薬も登場しています。
周囲の禁煙ブームの波に乗れば、禁煙成功率を高めるきっかけとなるかも知れません。
禁煙者増加の時代背景
日本の成人男性の喫煙率は、ピーク時の1966年ではおよそ83.7%でした。
成人男性のほとんどがタバコを吸っていたことになります。
そこから時代の流れとともに禁煙する人が増え、現在では喫煙率がおよそ20%まで減りました。
多くの人が禁煙に取り組んでいることがわかります。
なぜそこまで喫煙者が減ったのか、その理由にはまず「喫煙環境」があげられます。
昔は"どこにでも"と言っていいほど、灰皿が置いてありました。
当時を知らない人からすると「そんなところにも灰皿があったの?!」と驚かれるかも知れません。
「バス」「飛行機」「病院」「オフィス」「トイレ」
ありとあらゆる場所に灰皿が置いてあり、今では考えられない所でも喫煙は可能でした。
しかし、現在の喫煙環境はその頃と大きく変わっています。
公共機関はもちろん、トイレやオフィスなどでタバコを吸える環境はほとんどありません。
しかも飲食店では「全面禁煙」を行っているところや、時間によって分煙にしているお店が多く見受けられます。
これに加えてタバコ自体の値上がりも、禁煙ブームを後押しした1つの要因ではないでしょうか。
タバコ税の増税と禁煙
喫煙率がピークだった1966年と現在のタバコの値段を比較すると、どれだけ値上がりしているのかが分かるはずです。
- 1966年・・・100円
- 2017年・・・440円
この間9回ものタバコ税の引き上げがあり、その度に禁煙に挑戦したという人はあなたの身近にもいるはずです。
タバコが健康に良いものであれば1箱400円以上払う価値があるのかも知れません。
しかし、喫煙を続けることに決してメリットはありません。
むしろ、高いお金を払って自分の健康を害している状態です。
しかもタバコの被害は、自分の家族や周囲にも及びます。
健康面だけではなく経済的に見ても、タバコをやめるに越したことはありません。
喫煙がもたらす健康被害
「タバコはからだに害をもたらす」、このことは誰もが知っているかと思います。
しかし、タバコを吸い続けることにより、一体どのような健康被害をもたらすかを知っている人は、思いのほか少ないのが現状です。
からだのどんなところに害があって、将来的にどんな病気のリスクがあるかを知ることは非常に大切です。
リスクを知ることで禁煙の重要性をしっかりと認識でき、タバコをやめようと決心する"第一歩"になるはずです。
タバコによる健康被害を考えたときに、はじめに思いつくのが肺への影響だと思います。
しかし喫煙は、肺の疾患以外にも"日本の三大死因"と密接な関係があるのです。
WHO(世界保健機関)に付属している「国際がん研究機関」の報告によれば、喫煙による発がん性のリスクがあるからだの部位は次のようになります。
「肺」「口腔」「鼻腔や副鼻腔」「咽頭」「喉頭」「食道」「胃」「肝臓」「膵臓」「腎臓」「尿路」「子宮頸部」「骨髄」
からだの至るところに影響があり、喫煙者の発がんリスクはとても高いと言えます。
また2006年には、厚生労働省の研究チームから「タバコを吸う人は吸わない人に比べて、虚血性心疾患(心筋梗塞や狭心症)になるリスクが"3倍"高い」と発表されています。
しかも、1日に吸うタバコの本数が多ければ多いほど、発病のリスクは高まっていくことも明らかになっています。
同様に"脳卒中"や"脳梗塞"、"くも膜下出血"など、脳の病気にかかりやすくなるというデータもあります。
喫煙は脳や心臓の病気やガンなどのリスクを高めるばかりでなく、その健康被害は全身に及ぶと考えられています。
次の表をみれば、からだのどのような部分にどんな影響があるかが簡単に分かると思います。
非喫煙者への健康被害(受動喫煙)
健康被害を受けるのは喫煙者ばかりではありません。
喫煙者の周囲にいる人にも健康被害が及びます。
それを「受動喫煙」といいます。
まずタバコの煙は3つに分けることができます。
- 主流煙・・・喫煙者が吸い込む煙
- 副流煙・・・タバコの先から出ている煙
- 呼出煙・・・喫煙者が吐き出した煙
3つの煙のうち、"副流煙"と"呼出煙"がタバコを吸わない人の健康を害してしまいます。
実際に受動喫煙が原因で亡くなる人は、世界で毎年60万人にも上ると言われ、男性、女性、小児それぞれに分けた場合、下記のようになっています。
- 男性・・・156,000人
- 女性・・・281,000人
- 小児・・・166,000人
また日本だけでみても、受動喫煙が原因となる肺ガンや心筋梗塞で年間6,800人が亡くなっています。
しかも、家庭内の受動喫煙が原因で亡くなる人は約3,000人になります。
この死亡者数は肺ガンと虚血性心疾患のみに限定した場合になるので、実際に受動喫煙が原因で命を落とす人は更にたくさん存在することになります。
このことからも、喫煙者のみならず、タバコを吸わない非喫煙者の人にもタバコの害は及び、その被害は甚大であることがわかります。
子供の受動喫煙リスク
成人のみならず、子供への受動喫煙の影響も考えなければなりません。
子供への受動喫煙の影響は、お母さんのお腹の中にいる時からすでにはじまっています。
妊娠中の女性がタバコを吸っていると、流産のリスクが約2倍、早産のリスク約1.5倍にも跳ね上がります。
また、胎児の発育にも影響があります。
子宮内での発育が遅れるリスクが約2倍、低体重で生まれるリスクが約1.6倍にもなります。
これから家族が増える、あるいはすでに小さな子供が家庭にいるのであれば、タバコをやめるに越したことはありません。
自分だけではなく家族の健康を考えるのであれば、タバコを吸う生活というものを見直してみた方が良いかも知れません。
ニコチン依存症の原因
タバコの有害物質の代表格としても知られる"ニコチン"には、「強い依存性」があります。
タバコとよくセットとして考えられるコーヒーやお酒にも、アルコールやカフェインなど依存物質が含まれています。
しかし、コーヒーやお酒は適量であれば健康に問題は生じません。
ところが、ニコチンは触ることすら禁止されている危険薬物である"ヘロイン"や"コカイン"などよりも依存性が強く、あっという間に「ニコチン依存症」になってしまいます。
依存度の強さは以下のようになります。
ニコチン > ヘロイン > コカイン > アルコール > カフェイン
禁煙に失敗する人の多くはニコチン依存症からくる離脱症状が辛くなり、禁煙を断念してしまいます。
~タバコの煙に含まれる有害物質~
タバコの煙には、実に4000種類以上の化学物質が含まれています。
しかもその内の200種類はからだに害のある"有害物質"となり、さらにその中の50種類は発ガン性物質が含まれています。
有害物質で知られるのは、タバコのパッケージにも記載されている「ニコチン」や「タール」などがありますが、その他にも生活で身近な場所にあるものに使われる有害な物質もタバコの煙には含まれています。
タバコの煙に含まれる有害物質
化学物質 |
身近にある生活用品 |
アセトン |
ペンキ除去剤 |
ブタン |
ライターの燃料 |
ヒ素 |
アリ用の殺虫剤 |
カドミウム |
車のバッテリー |
一酸化窒素 |
排気ガス |
トルエン |
工業用の溶剤 |
タバコを吸うことで、このような有害物質をからだの中に取り込んでいることになるのです。