低用量ピル
低用量ピルは、毎日服用するだけで99%妊娠を防いでくれる避妊薬です。避妊以外にも生理痛の緩和、ニキビ改善など、女性に嬉しい効果が数多くあります。
低用量ピルの一覧
低用量ピルとは
低用量ピルとは、卵胞ホルモンと黄体ホルモン、2つの女性ホルモンを含んだ避妊薬のことになります。
2種類の女性ホルモンを服用することで、からだのホルモンバランスを変化させ100%に限りなく近い確率で妊娠を回避することができます。
一般的に性行為の際に用いられる避妊具であるコンドームよりも高い確率で避妊することができ、男性に頼らず女性の意思で避妊できるという点も重要です。
低用量ピルは先進国での使用率はとても高く、ヨーロッパ全体で30%(特にドイツは高く約60%)となっています。
しかし日本は2%弱ほどしかおらず、ピル後進国となっています。
日本がピルに対して持つ悪いイメージの1つに、「太る」ということが挙げられます。
古いタイプのピル(中用量以上)はホルモン量が多かったことで、太ることは確かにありました。
しかし、低用量ピルを服用することで、体重が増加することはありません。
日本国内で行われた臨床試験の結果から、体重の変動は±2kgの範囲でした。
ピルを飲むと太るというのは過去の話であり、避妊効果以外にも女性の生活を向上させる副効果もあることから、生活改善薬として使用していくこともできます。
低用量ピルの種類
低用量ピルといっても、1相性や3相性にわけることができます。
これらの違いは、1錠あたりに含まれるホルモン量となります。
避妊効果やその他の副効果が変わることはありませんが、ホルモン量によって特徴が変わります。
ホルモン量(~相性) | 特徴 |
---|---|
1相性 | 1ヶ月分(21錠)に含まれる女性ホルモンは均一。 飲み間違いを防ぐことが可能。 |
3相性 | 1ヶ月分(21錠)に含まれる女性ホルモン量が3段階で変化。 自然なホルモン分泌に近づけることで副作用を軽減。 |
避妊率に変化はありませんが、飲み間違いを防ぎたいのか、副作用を抑えたいのかによって低用量ピルを選択することができます。
また1ヶ月分は21錠が1シートになりますが、1シート服用後7日間の休薬期間が設けられています。
28錠タイプのものは、最後の7日分が偽薬(プラセボ)となります。
偽薬には有効成分は含まれていませんが、からだに害があるものではなく、休薬期間明けの飲み忘れを防止するために入っています。
また、ヤーズなど超低用量ピル(ミニピル)というのもあり、低用量ピルよりもさらに用量を減らしたものもあります。
日本では避妊効果は認められていませんが、「月経困難症改善」の目的で使用することができます。
低用量ピルの副効果
低用量ピルに含まれる2種類の女性ホルモンは、女性にとって嬉しい副効果がさまざまあります。
- 生理痛や出血量を少なく抑えることや、生理周期を安定させ生理不順を改善
- 生理前に起こるイライラ(PMS)を改善
- 肌荒れやニキビなどを改善
- 女性特有の病気の予防
辛い生理痛やニキビなどの肌荒れが起こる女性は、少なくありません。
日常生活で困る症状を改善することができることから、低用量ピルは女性の生活改善薬とも呼ばれます。
高い避妊効果に加えて、女性の生活の質を向上させることができることから、生理トラブルなどを抱えている女性は積極的に取り入れていくことがお勧めです。
低用量ピルの服用によって「不妊症になる」など不安に思う方がいらっしゃいますが、低用量ピルが不妊症の原因になることはありません。
低用量ピル服用中は避妊効果によって妊娠しないからだになっていますが、服用を中止することで再び排卵は起こります。
なので妊娠を望むのであれば、低用量ピルの服用を中止すれば不妊症になることはありません。
低用量ピルの効果
低用量ピルには、3つの作用があります。
- 排卵を抑える
- 子宮内膜の増殖を抑える
- 子宮頸管粘液の粘度を高める
低用量ピルの服用によって、女性の脳は妊娠したと「だまされた状態」になります。
すると排卵を促す女性ホルモンの分泌が止まり、排卵が抑制されます。
排卵は精子と卵子が受精卵になるためには必須の現象になり、排卵がなければ妊娠することはありません。
万一、受精卵となっても、子宮内膜が増殖することを防ぐことによって着床しにくい状態となります。
着床できなければ、母体とつながることはできないので結果、妊娠を防ぐことができます。
また、子宮頸管粘液の粘度が高まることで、精子が子宮に侵入しにくい状態となります。
3つの作用が女性のからだを守り、妊娠を防ぐことに繋がります。