認知症
認知症は薬の服用やリハビリなどで症状の進行を遅らせられます。どのような症状があるのか知り早期発見に繋げることが大切です。
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認知症とは
認知症とは、かつて痴呆症と呼ばれていた症状です。
ただ"痴呆"という言葉の意味が、「愚か」「ぼんやり」など侮辱的な意味が強く、患者さんや家族あるいは周囲の方が「恥ずかしい病気」と認識するようになってしまい治療の妨げとなっていました。
そこで、2004年の12月24日から名称が改められ、痴呆症→認知症となりました。
ただ認知症は病気ではなく、病名が決まっていない"症候群"の1つです。
例えるとすれば、誰でも一度はかかったことがある風邪と同じです。
風邪は症候群であり、ノドに痛みを感じたり、発熱、鼻水などいつも同じ症状が見られますが、何が原因かとは判断することができません。
つまり認知症は医学的にも診断することが難しく、原因もはっきりはしていない状態です。
そのため治療は症状を軽くする対症療法が中心となり、根本的な治療をするには病院でより精密な検査が必要となります。
認知症の治療方法
認知症を完治させる方法はまだ存在しません。
しかし、認知症の病状の進行を遅らせることは可能となっています。
治療方法は、次の2つにわけることができます。
- 薬物療法
- 非薬物療法
認知症の病状の進行を遅らせることで患者さんが穏やかな生活を送れるとともに、介護する方の負担を軽減することにもつながります。
薬物療法
薬物療法で用いられる薬は、次の2つがあります。
■中核症状に対する治療薬
■周辺症状に対する治療薬
それぞれの薬を以下で簡単にご紹介します。
中核症状に対する治療薬
認知症の中核症状には抗認知症薬を用います。
国内で用いられる抗認知症薬は4種類あります。
アリセプト、レミニール、イクセロンパッチは「アセチルコリンエステラーゼ阻害薬」と呼ばれる薬になります。
またメマリーは「NMDA受容体拮抗薬」と呼ばれ、3つの薬と異なる作用があるので併用することもあります。
周辺症状に対する治療薬
周辺症状の改善には、症状に合わせてさまざまな向精神薬が用いられます。
これらの薬は、抑うつや不安など精神的な面を治療することができる薬になっています。
いずれの治療薬も離脱症状などの副作用があるので、用量用法を守って正しく服用しなければなりません。
非薬物療法
非薬物療法は文字とおり、薬を用いない治療方法になります。
脳を活性化することで、できる限り脳の機能を維持することや生活するための能力を高めることが非薬物療法の目的になります。
理学・作業療法 ・・・ 運動や作業を通じて"本人らしい生活"を送れるようにサポートする治療
認知リハビリテーション ・・・ 音読やかんたんな計算、字の書き写しなどを行う治療
リアリティ・オリエンテーション ・・・ 認知機能の低下を防ぐ治療
回想法 ・・・ 過去の体験などを語ることで、記憶を刺激し感情を安定させる治療
アニマルセラピー ・・・ 動物と触れ合うことで、感情を安定させる治療
いろいろな治療方法がありますが、大切なのは患者さん本人の気持ちに合わせ、無理のない範囲で行うことです。
認知症の定義
「○○を思い出せない・・・」こういった"物忘れ"の経験は誰にでもあるはずです。
ただ、単なる物忘れは老化が原因になって起こります。
また、何かしらのヒントがあれば思い出すこともできます。
しかし認知症は、単なる物忘れとは違います。
認知症は、次のように定義されています。
「後天的な脳の病気によって正常に発達した知的機能が全般的かつ持続的に低下してしまい日常生活に支障が生じている状態」
このように認知症は、脳の病気が原因となって物忘れを起こします。
しかも、ものごと全体を忘れてしまい、ヒントがあっても思い出すこともできません。
単なる物忘れと認知症の違いをまとめると、以下の表のようになります。
物忘れ | 認知症 | |
---|---|---|
原因 | 老化 | 脳の病気 |
記憶 | 一部を忘れる | すべてを忘れる |
自覚 | あり | なし |
生活への影響 | 支障なし | 支障あり |
自覚症状や日常生活への支障があるかないかも、"物忘れ"と"認知症"の大きな違いとなっています。
認知症の種類
認知症といってもその種類はいくつかあります。
種類とその割合が、次のようになります。
- アルツハイマー型認知症 ・・・ 約60%
- 脳血管型認知症 ・・・ 約20%
- レビー小体型認知症 ・・・ 約10%
- その他 ・・・ 10%
認知症の種類によって、脳の中での変化、またその変化する場所なども異なるので症状も変わってきます。
アルツハイマー型がもっとも多いことから一般的に「認知症=アルツハイマー」と認識する方が多いです。
認知症の症状
認知症の症状は、大きく2つに分けることができます。
■中核症状 ・・・ 認知症患者さんなら誰にでも現れる症状
■周辺症状 ・・・ 「行動・心理症状(BPSD)」とも呼ばれ、患者さんごとに環境あるいは心理状態で異なる症状が現れる
少しわかりづらいと思うので、日常的なことを例にすると次のようになります。
①「認知症の影響で、いつもできていた家事や趣味がうまくできなくなった」
↓
②「家事や趣味ができないことが原因で精神的に不安定になった」
この例で中核症状は①になります。
また人には性格があり、家事などができなくなることを気にしない人もいれば、ひどく落ち込んでしまう人もいます。
②が周辺症状となり例として精神的に不安定になったとしていますが、これが不安や焦り・怒り(焦燥)などに変わることもあり、これは患者さんによって異なります。
認知症のメインの症状として「中核症状」があり、それを囲むように患者さんそれぞれの周辺症状があるとイメージするとわかりやすいかも知れません。
中核症状
一般的に中核症状は認知症患者さんの誰にでも現れ、次の4つの症状が現れます。
記憶障害
記憶障害とは、昔のことや最近あった出来事などが記憶からすっぽり消えてしまう障害です。
●短期記憶障害 ・・・ 記憶が数十秒から1分程度と短い時間のみ記憶が残る
新しいことを覚えることが難しくなり、今日が何日なのか、どこにモノを置いたか、何度も同じことを聞くなどの症状が短期記憶障害にあたります。
●長期記憶障害 ・・・ 記憶が数時間から数日間残る
過去に体験したこと自体を忘れてしまうことや、自分の職業、一般常識などを思い出せないのが長期記憶障害になります。
最終的には、家族の名前や顔なども忘れるようになってしまいます。
見当識障害
見当識障害とは、自分が置かれている状況がわからなくなってしまう症状です。
たとえば、次のようなことを正確に認識することが難しくなります。
- 年月日
- 時間
- 季節
- 場所
- 人物
など
見当識障害の症状によっては徘徊をしてしまう患者さんもいます。
徘徊するのは、自分がどこにいるのかを認識できないためです。
交通事故を引き起こすことや、行方不明になってしまう事件は実際に何件も起きています。
家族の方は、外出は誰かが付き添うなどして目を離さず見守ることが大切です。
実行機能障害(判断力の障害)
実行機能とは、次のように定義されています。
「目的をもって行った一連の行動を自立して成し遂げるために必要な機能」
認知症の実行機能障害に置き換えれば、以下のようになります。
- 目的がない
- 自立できない
- 成し遂げられない
ある出来事について考えを決める能力、つまり判断能力が低下するようになることで、なにか行動する際に支障がでるようになります。
時に、善・悪や危険への判断がつかないこともあるので警察からの連絡で家族が驚くことや、事故に遭ってしまうケースも珍しくありません。
実行機能の障害は、認知症なのかも知れないと判断するきっかけになることがあります。
常用している薬の飲み間違いや、食事を作るのに何の調味料を入れれば良いのか分からないなどちょっとしたことが兆候となることもあり、認知症の早期発見・早期治療につながることもあります。
失行・失認・失語
失行 ・・・ ボタンの掛け間違いなど、動作の組み合わせがわからなくなる
失認 ・・・ 知っているはずの道具の使い道がわからなくなる
失語 ・・・ モノの名称がわからなくなる
周辺症状(BPSD)
周辺症状は"心理・行動症状"とも呼ばれ、次のような症状が現れることがあります。
■心理症状
- 幻覚
- 妄想
- 抑うつ
- 睡眠障害
- 不安
- 焦燥
など
■行動症状
- 徘徊
- 介護抵抗
- 暴力・暴言
- 異食症(異常な食行動)
- 失禁・弄便
など
中核症状と違い周辺症状は患者さん全員に現れることはなく、本人の性格や生活の環境などに左右されて症状が現れます。