"スメルハラスメント"という言葉が生まれ、近年の日本ではニオイ問題が増えています。
洗濯の時に使う柔軟剤や体臭、人からは無意識のうちに様々なニオイが発せられますが、中でも悩みの種になりがちなのが口臭です。
自分のニオイは気づきにくく、他人の場合は指摘しにくい…。
職場や学校、さらに電車の中など自分や周りの方の口臭が気になる場面はいくつもあります。
つまり口臭に関わる問題は被害者にも加害者にもなりうる可能性があるのです。
しかし自分の口のニオイを気にしすぎると、今度は口臭があるかないかに関わらず不安になってしまう"口臭症"に繋がる恐れもあります。
そのためここでは口臭の原因や種類を解説した上で、その対策法をご紹介します。
口臭の対策法は、大きく分けると"セルフケア"と"口臭外来"の2種類があります。
以下ではそれぞれの方法について解説します。
セルフケア
口臭対策の基本は、ニオイの素になる口の中の汚れを取り除いて清潔にすることです。
そのため歯ブラシや歯間ブラシ、舌ブラシなどで歯や舌をキレイにすると口臭を抑えられます。
特に舌苔がある場合は、口臭源になりやすいので積極的に取り除くことがオススメです。
舌を磨く際は次のようなポイントを意識しましょう。
- 舌苔が付きやすい起床直後に磨く
- 嘔吐反射を防ぐために舌を出し、息を止めながら磨く
- 舌苔をノドの奥に追いやらないために舌の奥から手前、内から外に向けて磨く
また磨き方によっては歯や舌に傷つき、歯・口の健康を損なうこともあるので優しく磨きましょう。
その他には口臭ケアグッズも用いるという選択肢もあります。
国内ではコンビニでも購入できるガムが一般的ですが、海外製品には「ペポジェスト」など口臭を改善できるサプリメントなどもあります。
現地まで行かずとも、通販で購入できる商品なので興味のある方はぜひお試しください。
口臭外来
口臭改善を本格的に始めたい方は、口臭外来がオススメです。
口臭外来では口臭の原因であるVSCがどれだけ発生しているのかを測定し、実際にどれくらいのニオイがあるのか検査してもらうことができます。
さらに検査結果から口臭の原因を突き止め、適切な治療法を受けることも可能なので口臭にお悩みの方には心強い味方となってくれるはずです。
口臭の原因は約80%以上が口の中にあるとされます。
その正体が、口の中で発生する"VSC(揮発性硫黄化合物)"です。
口の中にはたくさんの常在菌が住み着いていますが、VSCは口の中の食べかすや細菌の死骸に含まれるタンパク質が常在菌により分解された時に発生します。
またVSCには主に次のような種類があります。
- 硫化水素 … タマゴが腐ったようなニオイ
- メチルメルカプタン … 野菜が腐ったようなニオイ
- ジメチルサルファイド … 生ゴミのようなニオイ
口臭は、これらのニオイが混ざり合って生まれるニオイだと言われています。
~口臭に含まれる毒ガス~
口臭の原因の1つ、硫化水素は温泉や火山、または下水など自然界の様々な場所で発生しているガスです。
毒ガスとして知られる硫化水素は目や鼻、呼吸器、神経などの部位にダメージを与え、さらに250ppmの濃度で人は窒息死する危険性もあります。
といっても口臭に含まれる硫化水素は0.3ppmほどであり、命に危険を及ぼすようなことはありません。
ですが次のような害を与えることがあると言われています。
- 不快感を与える
- 歯茎を溶かし、歯周病を悪化させる
- がんの原因となる活性酸素を増やす
など
自分の健康を守るためにも、口臭予防を意識することが大切です。
口臭は、大きく4種類に分けられます。
ここからは、それぞれの口臭について詳しく解説します。
生理的口臭
生理的口臭とは程度の差こそあれど、健康な人であれば誰にでもある口臭です。
1日の中でニオイの強さも変わり、特に次のような時に口臭が強まるとされています。
これらのタイミングではだ液の分泌量が減り、ニオイの発するVSCが作られやすくなるため口臭が強くなるのです。
また年を重ねたり、女性の場合は生理にともなって口臭が増えることもあります。
自分の口臭が気になる時は、いつも以上にしっかりと歯を磨くようにしましょう。
~最大の口臭源、舌苔(ぜったい)~
口臭の原因の約8割は、口の中にあると言われています。
その中でも口臭を引き起こしやすいのが、舌苔です。
舌苔とは、舌に付着した白色~淡黄色の苔のようなものを指します。
ただし実際に苔が生えている訳ではなく、その正体は口の中から剥がれ落ちた粘膜や食べかすなどで作られた垢の塊になります。
舌苔にはタンパク質が豊富に含まれていることから、それらが口の中の常在菌に分解されて口臭が発生しやすくなってしまうのです。
舌苔がついている場合は、歯ブラシや舌ブラシなどのオーラルケアグッズで取り除くようにしましょう。
病的口臭
病的口臭とは、からだに生じた何らかの病気が原因で発生する口臭です。
口臭を引き起こす病気には、例えば次のような種類があります。
■口腔由来(口の中の病気)
歯周病、進行した虫歯など
■全身由来(全身に関わる病気)
鼻やノドの病気、糖尿病、肺がん・胃がん、肝硬変、腎不全など
病的口臭を改善するには、これらの病気を治療する必要があります。
外因的口臭
外因的口臭とは、口に入れたモノが原因の口臭です。
にんにくやネギ、納豆などニオイの強い食材を口にしたり、また飲酒・喫煙をした後などに発生します。
基本的にニオイは一時的なもので、時間の経過により口臭も治まっていくことが多いです。
しかしお酒やタバコを長期間、口にしていると口臭が解消されにくくなるので注意してください。
心因性口臭
心因的口臭とは実際はニオイがしないのに、自分では口臭があると思い込んでいる場合のことを表します。
またの名を"自臭症"とも呼ばれ「自分の口臭が他人に迷惑をかけているのではないか」などと考えたり、他人と接することが苦手になり日常生活に支障をきたすケースもあります。
不安障害や統合失調症などの精神疾患を併発している場合もあり、その時は精神科による治療も必要となる症状です。