インフルエンザとは
インフルエンザとは、毎年冬の時期に流行する感染症です。
「学生時代にインフルエンザが原因で学校を欠席した」、「芸能人が感染したというニュースを見た」など何となく身近に感じる感染症かもしれません。
インフルエンザに感染してしまうと、重い風邪のような症状が現れます。
感染を防ぐために予防接種をおこなっている人も多いことでしょう。
しかしインフルエンザの原因ウィルスは毎年変化を繰り返しているため、ワクチンが効かず「予防接種をしたのに感染してしまった」という事態になることも少なくありません。
またインフルエンザは感染力が強く、子供や高齢者の方だと時には命に関わることもある意外と怖い感染症です。
そのため毎年油断せずに予防を心がけ、もし感染してしまった場合にはすぐに治療に取り組むことが大切です。
ここではインフルエンザについて原因や症状、さらに予防や治療の方法など解説していきます。
インフルエンザの予防法
インフルエンザにかからないようにするためには、予防の心がけが大切です。
そこで予防の基本となるのは、やはり"予防接種"でしょう。
予防接種とは、ワクチンをからだに投与することでインフルエンザへの免疫力を高める予防方法です。
ワクチンは毎年「どのようなウイルスが流行するか」を予想して製造されるため、必ずしも感染を防げる訳ではありません。
しかし予防効果そのものは高く、また予防接種をしておくと感染してしまった場合でも周防状を最小限に抑えることも可能になります。
そのためインフルエンザを予防するためには、毎年予防接種を受けることがオススメです。
またインフルエンザが流行している時期にはウイルスを鼻や口から吸い込んだり、あるいは手に付着することもあります。
そのため外出時にはマスクをつけて、さらに手洗い・うがいをこまめにおこなうことも予防のために必要です。
インフルエンザ治療薬をあらかじめ飲んでおけば予防効果も期待できるため、特にかかりたくないときにはお薬を利用しましょう。
インフルエンザの治療法
インフルエンザの治療法には、"一般療法(生活療法)"と"薬物療法"の2種類があります。
ここではそれぞれの治療法についてご紹介します。
薬物療法
インフルエンザは自然治癒もできる病気ですが、子供や高齢者の方の場合は命に関わる合併症を引き起こすこともあります。
このような方がインフルエンザに感染した時や、また若い方の場合でも子供や高齢者と同居しているのであればインフルエンザ治療薬を服用が望ましいです。
インフルエンザ治療薬は服用することで、回復を早めてくれる薬となります。
主なインフルエンザ治療薬には「タミフル」「リレンザ」などがあり、これらはA型・B型のインフルエンザに有効です。
またインフルエンザを治療する訳ではありませんが、対症療法として解熱鎮痛剤が用いられることもあります。
解熱鎮痛剤には熱を下げる作用があるため、高熱の時に服用することで症状を楽にしてくれるのです。
ただし「ボルタレン」のようにインフルエンザ脳症を悪化させる可能性がある解熱鎮痛剤には注意しましょう。
一般療法
一般療法とは、インフルエンザ治療の基本とも言われる治療法です。
具体的には、次のような方法があります。
- 水分補給をしっかりおこなう
- 安静にして睡眠、休養をとる
- 汗をかいた後は、すぐに着替える
など
特に若い方で、なおかつ健康な場合は一般療法をおこなうことでインフルエンザを自然治癒できることがほとんどだとされます。
インフルエンザの種類
一口にインフルエンザといっても、その種類は大きく2つに分かれます。
- 季節性 … 毎年流行するインフルエンザ
- 新型 … 感染が広がりやすいインフルエンザ
毎年秋や冬、11~12月頃から流行りだすのが"季節性インフルエンザ"です。
国内では毎年約1千万人、つまり約10人に1人はインフルエンザに感染していると言われ、その感染力の強さを知ることができます。
またインフルエンザの原因ウイルスは毎年少しずつ変化を繰り返していますが、時には急な変化を遂げたウイルスが現れることもあります。
このようなウイルスには多くの人が免疫を持っていないため感染が急激に広がりやすく、これを"新型インフルエンザ"と呼びます。
しかし新型インフルエンザが流行るということは、多くの人が免疫を獲得することにもなります。
すると感染が急に拡大することも無くなるので、新型インフルエンザは数年も経過すると季節性インフルエンザとして扱われるようになります。
インフルエンザの原因ウイルス
インフルエンザの原因は、"インフルエンザウイルス"です。
このウイルスの種類は大きく「A型・B型・C型」の3つに分類されますが、種類によって特徴や症状の現れ方なども異なります。
インフルエンザには季節性と新型の2種類がありましたが、まず季節性の原因となるのはA型とB型の2種類です。
しかしこれらのウイルスには、大きな違いがあります。
■A型ウイルス
- 毎年変化を繰り返す
- 症状が重くなりやすい
- 人だけでなく動物に感染することもある
■B型ウイルス
- あまり変化はしない
- A型よりも症状が少ない
- 人にしか感染しない
A型とB型のインフルエンザウイルスにはこのような違いがあり、一般的なインフルエンザとしてのイメージが強いのはA型の方かもしれません。
またA型は突然変異を起こすことで新型インフルエンザの原因になり、人々の健康や生活に大きな影響を与えることもあるので注意が必要です。
ちなみにC型インフルエンザウイルスは一度免疫を獲得すると、その免疫は一生続くとされます。
そのためほとんどの方は免疫を持っているため感染しにくく、さらに感染したとしても症状は軽度になりやすいです。
ただし免疫を持っていない、子供への感染が多いとされます。
インフルエンザの症状
インフルエンザウイルスの潜伏期間は、約1~3日とされます。
そのため感染すると体内で急速に増殖し、次のような症状を引き起こします。
- 38度以上の高熱
- 鼻水やせき
- ノドの痛み
- 関節痛や筋肉痛
- 嘔吐や下痢
- 頭痛
- 全身のけん怠感
など
インフルエンザには様々な症状が現れ、鼻水やせきも出るため風邪と混同されることもあります。
しかし風邪とは違ってからだの痛みやだるさなど全身に症状が現れる、また急に体調が悪くなるという特徴もあります。
インフルエンザの疑いがある場合は、すぐに治療に取り掛かりましょう。
またインフルエンザは、"インフルエンザ脳症"や"二次性細菌性肺炎"といった合併症を引き起こすこともあります。
インフルエンザ脳症は子供に多く見られる合併症であり、年間では約100~300人の子供に発症していると言われます。
インフルエンザの症状に加えてけいれんや異常行動など、さらに脳障害や多臓器不全につながることもある病気です。
命に関わることもあるため、インフルエンザ脳症には注意が必要です。
一方で二次性細菌性肺炎は、高齢者の方に現れやすい合併症です。
高齢者の方の場合はもともと免疫力が低下していることもあり、インフルエンザにかかることでさらにからだが弱ってしまいます。
すると細菌への感染を引き起こしやすくなり、肺炎のような病気を発症することもあるのです。
国内において肺炎は高齢者の死因の上位を占めているので、二次性細菌性肺炎の疑いがある時はすぐに治療を始めましょう。
インフルエンザの感染経路
人から人へとうつるインフルエンザですが、その感染経路には主に次のような種類があります。
以下では、それぞれの感染経路について解説します。
飛沫感染
インフルエンザ最大の感染経路と考えられているのが、飛沫感染です。
飛沫感染は、インフルエンザに感染している方がくしゃみやせきによりウイルスを飛散させることで起こります。
感染者がくしゃみやせき
↓
ウイルスが飛散
↓
周りの人が鼻や口からウイルスを吸い込む
↓
感染
1回のくしゃみには200万、1回のせきには10万ものウイルスが含まれていると言われます。
またくしゃみやせきは約1~2メートルほど飛散するため、電車の車内や学校の教室、職場など人との距離が近くなる場所では注意が必要です。
接触感染
くしゃみやせきをする時には、鼻や口を手で抑えることがマナーとされます。
手で抑えることにより鼻水や唾液が飛んでいかなくなるので、飛沫感染を防げるかもしれません。
しかし、この時にウイルスを含んだ飛沫が手にくっつくことで接触感染を引き起こすことがあります。
感染者がせきやくしゃみを手で抑える
↓
そのままの手でドアノブやつり革などに接触
↓
周りの人がその部分に触れる
↓
その手で自分の鼻や口、目を触る
↓
感染
ウイルスは目に見えないので電車の車内や学校、職場など日常における多くの場所で接触感染のリスクが生まれます。
空気感染
インフルエンザは、空気感染を起こすこともあります。
空気感染とは、インフルエンザに感染した方と同じ室内にいる場合に空気を通じて感染するというものです。
ただし空気感染が成立するためには、「インフルエンザウイルスが感染力を保てる環境」が必要となります。
具体的には「室温が低く、乾燥した部屋」ではウイルスの感染力が維持されてしまうので、インフルエンザが流行している時期には部屋の換気を心がけましょう。