症状の内容が内容であるだけに、便秘に悩んでいてもなかなか人に相談できずにいる方も多いのではないでしょうか。
そんな方のために、自宅でも1人で簡単にできる便秘の解消方法をいくつかピックアップしてみました。
具体的には、「便秘薬を使用する」「サプリメントを使用する」「マッサージする」「ツボを押す」の4種類です。
いずれも単独で十分な効果が期待できますが、複数の解消方法を並行して実践してみるのもおすすめです。ひとつの方法だけでは思ったほどの効果を得られなかった方、より早く確実に便秘を解消したい方は試してみてください。
ただし、便秘薬とサプリメントの併用については、「相互作用」によって人体に悪影響が及ぶ可能性も考えられるので、まず医師に相談してみることをおすすめします。
便秘薬を利用する
便秘を解消する方法として最もシンプルかつ効果的なのが、「便秘薬を使用すること」です。 一口に便秘薬といってもその種類は多岐にわたり、その中でも特に身近なものとして下剤が挙げられます。
下剤は主に「浸透圧性下剤」と「刺激性下剤」の2種類に分けることができます。
前者は、便の水分量を増やして柔らかくすることでスムーズな排便を促します。副作用が現れにくく、長期にわたって服用しやすいことから、多くの医療機関が第一選択薬として使用しています。
一方、後者は、大腸の蠕動(ぜんどう)運動を活性化させることで排便をサポートします。
便秘薬の中でもひときわ作用が強く、優れた効果が期待できますが、だからといって過度な使用はおすすめしません。というのも、刺激性下剤の多くは依存性が高く、減薬するどころか日に日に服用量を増加してしまうおそれがあるためです。
使用する際は必ず医師の指示を仰ぎ、そのうえで正しく扱うようにしましょう。
一方、「イチジク浣腸」で有名な浣腸を用いて解消することもできます。
肛門から直接薬剤を注入することにより、腸の働きを活発にして排便を促します。
また、即効性に優れていることから、慢性便秘だけでなく一時的な便秘の解消にも効果的です。
そのほか、2012年に国内で発表された30年ぶりの新薬、ルビプロストンも有名な便秘薬として挙げられます。
これは「上皮機能変容薬」に分類される内服薬であり、服用することで小腸における水分の分泌を促進してスムーズな排便をサポートします。
サプリメントを利用する
便秘を解消するために、サプリメントを使用するのもおすすめです。
一見すると医薬品と同じように思えるかもしれませんが、両者には大きな違いがあります。
医薬品とは、特定の病気・症状を治療もしくは予防するために開発され、また有効成分や用法用量、副作用などが明確に定められたものをいいます。加えて有効性や安全性がきちんと確立され、なおかつ厚生労働大臣や各都道府県知事に承認される必要があります。
一方サプリメントは、日常生活において不足しがちな栄養素の補給を目的に開発されたものです。
医薬品と違って、天然由来の成分を主に配合しているのが大きな特徴です。医薬品に比べて効果の現れ方が緩やかではありますが、副作用を気にせず使用できるのは嬉しいポイントといえるでしょう。
また、サプリメントは種類が非常に豊富な点も見どころです。
商品によってメインで配合する栄養素が異なるので、ふだんの食生活で特に不足しがちな栄養素をピンポイントで補給できます。便秘の解消が期待できるうえ、偏った栄養バランスを整えることも可能です。
マッサージ
便秘は大腸の機能低下によって起こりますが、逆に言えば大腸の機能を改善することで解消することが可能です。
そこでおすすめなのが、腹部を中心に行うマッサージです。大腸を刺激することで蠕動運動を促し、排便しやすい状態をつくります。
具体的には、2014年にテレビ番組で大反響を呼び、多くの書籍でも取り上げられた「腸ゆらしマッサージ」が挙げられます。その方法は以下の通りになります。
①リラックスした状態で仰向けに横になり、膝を立てる
②下行結腸を挟み込むイメージで左脇腹とおヘソの左側に両手を当てる
③手を小刻みに震わせてマッサージする(1分間)
これを1日2回、朝食前と就寝前に行います。
短時間で気軽にできるので、苦に感じることなく習慣付けられるのではないでしょうか。
また、高齢者の方でも簡単にできるのが、以下のような「仰向け腹式呼吸」です。
①仰向けに横になる
②腹部がへこむ程度まで細くゆっくりと息を吐く
③限界近くまで息を吐ききったところで全身の力を抜く
これを10回ほど繰り返すことで、自然に腹式呼吸を行うことができます。
腹部を意識的に動かすことで大腸の動きも活発になり、結果として便通の改善が見込めます。
体を曲げたりひねったりするのが難しい方にオススメです。
ツボ押し
適度に刺激することで健康状態の改善が期待できる「ツボ」は様々な場面で利用されます。
人体には数多くのツボが存在しますが、その中には便秘解消に効果的なものもあります。
大巨(だいこ)
おヘソから指幅3本分ほど下がったところの左右にあるツボです。
指の腹を当て、体の中心に向かって押すイメージで刺激することで、胃腸の働きを正常にする効果が期待できます。主に慢性便秘に悩む方におすすめです。
大腸兪(だいちょうゆ)
背骨と左右の骨盤が交わっているところに位置するツボです。
“痛気持ちいい”くらいの力加減でゆっくり押すことで、整腸効果が期待できます。
便秘、下痢に悩む方はぜひ押してみてください。
間使(かんし)
手首から下に指を5本置いたとき、ちょうど親指が当たるところに位置するツボです。
若干の痛みを感じる程度に押すことで、腸の蠕動運動が活発化。排便を促します。
大巨や大腸兪と違って座りながらでも手軽に刺激できるので、デスクワークをしている方にもおすすめです。
ただし、上記のようなツボを刺激することで排便を促す効果が期待できますが、これは便秘を根本から解決する手段ではありません。
あくまでも一時的な効果を得るための解消方法であることを心に留めて行いましょう。