睡眠薬
睡眠薬は、寝つきが悪い、途中で目が覚めてしまうなど不眠症を改善するお薬です。最近の睡眠薬は副作用や依存は少ないため、睡眠にお悩みの方は活用して快眠を手に入れましょう。
睡眠薬の一覧
睡眠薬とは
睡眠薬とは、睡眠導入剤と呼ばれることもある不眠症などの改善に用いられる薬になります。
どちらの用語も広い意味では同じですが、狭い意味では少し異なります。
- 睡眠薬 → 眠らせることに効果を発揮する薬
- 睡眠導入剤 → 寝付きを良くする薬
深い眠りにつくなどには睡眠薬、寝付きを良くするのであれば睡眠導入剤として使い分けても良いです。
ただし、睡眠薬と睡眠導入剤の明確な違いが決まっている訳ではありません。
医師の判断によっても異なるところで、2つの用語はほとんど同じような意味で用いられています。
ここでは睡眠薬の特徴や、睡眠導入剤としての使い分けなどを解説していきます。
睡眠薬の種類
一口で睡眠薬といってもその種類にはさまざまな薬があります。
代表的な睡眠薬の種類が、次のようになります。
睡眠薬の種類 | 医薬品名 |
---|---|
ベンゾジアゼピン系 | ハルシオン/ベンザリン/レンドルミン/サイレースなど |
非ベンゾジアぜピン系 | ルネスタ/アモバン/マイスリー/ソナタなど |
メラトニン受容体作動薬 | ロゼレム |
オレキシン受容体拮抗薬 | ベルソムラ |
バルビツール酸系 | ベゲタミン/ラボナなど |
これらの睡眠薬のうち、即効性に優れている薬を睡眠導入剤と呼びます。
睡眠薬は時間によっても分けることができ、超短時間型、短時間型、中時間型、長時間型などがあります。
寝付きが悪いのを改善するには「超短時間型」や「短時間型」が適していて、この2つのタイプが睡眠導入剤に該当します。
また、夜中に目が覚めるのを改善するには作用時間長い「中時間型」や「長時間型」の睡眠薬が適しています。
寝付きを良くする睡眠導入剤として使える薬は、次のようになります。
- ハルシオン
- マイスリー
- アモバン
- ルネスタ
- トルドルミン
また、サイレースやロゼレム、ベルソムラなども睡眠導入剤に分けることができますが、ロゼレムに限ってはメラトニン受容体に作用することで覚醒と睡眠のリズムを整える作用が主となることから、睡眠導入剤としては異なる部分もあります。
睡眠薬のジェネリック医薬品
睡眠薬にもジェネリック医薬品が存在しています。
海外通販で購入することができ、低価格でありながら先発薬と同じ効果を期待することができます。
先発薬(成分) | ジェネリック医薬品(成分) |
---|---|
ルネスタ(エスゾピクロン) | フルナイト/ハイプナイト(エスゾピクロン) |
ソナタ(ザレプロン) | ハイプロン(ザレプロン) |
ロゼレム(ラメルテオン) | Ramitax(ラメルテオン) |
アモバン(ゾピクロン) | ゾピクロバン/ゾピコン(ゾピクロン) |
この中でアモバンだけは現在、購入することができなくなっています。
その理由として、薬事法によって輸入禁止の対象となっており、依存や薬への耐性がつきやすいことから個人での購入はできないとしています。
睡眠薬の作用
睡眠薬にはいくつもの種類があり、それぞれ作用が異なります。
それぞれ種類ごとに作用を解説していきます。
ベンゾジアゼピン系の特徴
ベンゾジアゼピン系の睡眠薬は、脳にある「GABA-A受容体」に作用することでそのはたらきを増強します。
GABA-A受容体は"抑制系受容体"とも呼ばれ、脳のはたらきを抑えるはたらきがあります。
脳のはたらきを抑えることで、次の4つの作用をもたらします。
- 抗不安作用
- 催眠作用
- 筋弛緩作用
- 抗けいれん作用
ベンゾジアゼピン系の中で特に催眠作用が強いものを、ベンゾジアゼピン系睡眠薬と呼びます。
非ベンゾジアゼピン系の特徴
非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬はベンゾジアゼピン系の作用とほとんど同じです。
GABA-A受容体の中には、2種類の受容体があります。
- ω(オメガ)1受容体 → 催眠作用に関係する受容体
- ω(オメガ)2受容体 → 抗不安作用や筋弛緩作用に関係する受容体
ベンゾジアゼピン系睡眠薬はどちらの受容体にも作用します。
一方で非ベンゾジアゼピン系睡眠薬はω1受容体のみに作用します。
非ベンゾジアゼピン系睡眠薬は眠らせることに特化した薬になり、筋弛緩作用などがないことから「ふらつき」などの副作用症状も少なく抑えることができます。
メラトニン受容体作動薬の特徴
人は、夜になれば眠くなります。
これは脳の視床下部という部分から「メラトニン」というホルモンが分泌されるためです。
メラトニンが受け皿となるメラトニン受容体に作用することによって、自然に眠気を感じ人は眠りにつきます。
メラトニン受容体作動薬は、人の眠りの仕組みから考えられた薬です。
薬の作用によって人工的にメラトニン受容体を刺激することで、より自然に近いかたちで眠りにつくことができるようになります。
オレキシン受容体拮抗薬の特徴
オレキシン受容体拮抗薬の「オレキシン」とは、人の覚醒(脳が起きる)に関係している物質になります。
オレキシンが不足することで、人は眠くなります。
実際、眠り病とも呼ばれるナルコレプシーという病気はオレキシン不足が原因で起こります。
オレキシン受容体拮抗薬は、オレキシンのはたらきを阻害することによって眠りへと導いてくれます。
依存や耐性などの副作用も少なく、起きてから効果が持ち越されることもないことから安全性が高い薬となっています。
バルビツール酸系の特徴
バルビツール酸系の睡眠薬は、脳にある「GABA-A受容体」に作用することでそのはたらきを増強します。
GABA-A受容体は抑制系受容体とも呼ばれ、脳のはたらきを抑えるはたらきがあります。
GABA-A受容体が薬によって増強されることで、次の4つの作用をもたらします。
- 抗不安作用
- 催眠作用
- 筋弛緩作用
- 抗けいれん作用
この中で催眠作用が睡眠薬としての作用になります。
また抗けいれん作用があることから、てんかんの治療薬としても用いられることがあります。
ベンゾジアゼピン系や非ベンゾジアゼピン系の作用と似ていますが、より強力な作用があり強い催眠効果があります。
しかし依存や耐性の問題はもちろん、時には命にかかわる重い副作用を起こすこともあることから、治療に用いられることはほとんどありません。