肝臓病とは
肝臓は”沈黙の臓器”とも呼ばれ、症状が重くなってからはじめて病気の罹患に気づくことが多い臓器です。
代表的な肝臓病には、慢性肝炎・脂肪肝・アルコール性肝障害・肝硬変などが挙げられ、生活習慣が原因で引き起こされるものからウィルス感染によって起こるものまで様々な疾患があります。
この記事では、そういった肝臓病の治療方法や原因、症状を詳しく解説していきます。
肝臓病の治療方法
この項目では、肝臓病の治療方法について解説していきます。
治療薬を利用する
肝臓病を治療する際、適した治療薬を利用することで回復を早めたり、病気を完治に導くことができます。
例えばB型慢性肝炎やC型慢性肝炎は自然治癒がほぼ不可能な病気のため、核酸アナログ製剤を用いたり、インターフェロン治療などを行います。
その他、脂肪肝やアルコール性肝障害の治療の場合には、食事療法や運動療法などで回復を目指すことが多いです。
しかし、症状が重度であるときなど状況によっては治療薬を用いることもあります。
脂肪肝の場合、ビタミンE（抗酸化剤）などを治療薬として用いることもありますが、脂肪肝に特効薬はないため基本的には生活習慣の改善が治療法となります。
また、重度の肥満の場合には肥満手術を行うことで治療することもあります。
次にアルコール性肝障害ですが、この症状を治療する場合は基本的に断酒や食事療法を行い、アルコール依存症の方など症状が重度の場合などにノックビン（※リンク先はノックビンのジェネリック医薬品です）やシアナマイドといったアルコール依存症治療薬を用います。
また、肝臓病治療薬に関してさらに詳しく知りたい方は「胃炎・肝臓病治療薬」のページをご覧になってください。
食事療法
肝臓病を治療するためには食事療法は欠かせません。
食事療法の基本は、「肝機能の低下した肝臓に適したエネルギー量の栄養バランスのいい食事を摂取すること」です。
また、肝臓病の種類によって食事のとり方は異なり、その種類ごとの食事のとり方を以下に簡単にまとめましたので治療のご参考にしてください。
・脂肪肝
脂肪肝は肥満が原因となって起こる肝疾患のため、食事量を制限したり、不規則な食生活を正し、肥満を解消するための食事をとります。
・慢性肝炎
なるべく多くの種類の食品を摂取するように心がけ、3食規則正しく食べ、アルコール類は摂取しないようにします。
※慢性肝炎は脂肪肝と違い、特別な脂肪制限をする必要はありません。
・アルコール性肝障害
禁酒が基本で、その上でアルコールの過剰摂取によって抜けていった栄養素を補うように栄養バランスのとれた食事をとります。
肝臓病の原因
この項目では、肝臓病の原因について解説していきます。
アルコールの飲みすぎ
アルコールを摂取しても体に特に異常が起きないのは肝臓が無毒化してくれているからです。
しかし、アルコールを摂取すればするほど肝臓は無毒化しなくてはいけないので疲れてしまいます。
また、肝臓でアルコールが代謝されるとアセトアルデヒドという物質が生じることで肝臓が線維化し、肝硬変などの肝疾患に進行していく恐れがあり、お酒の飲みすぎは大変危険です。
高血圧
高血圧は自覚症状が少ない病態の一つですが、放置しておくと様々な臓器障害を併発します。
それは肝臓病も例外ではなく、血圧が高くなると肝機能にも影響を及ぼし、肝疾患の一因になります。
不規則な食生活
不規則な食生活を送っていると肝機能のサイクルを乱し、代謝異常を起こす原因になってしまいます。
これは日本の大学が行った研究でも明らかになっている事実で、食事のタイミングや朝食を食べるか否かで肝臓機能に深く影響するというものです。
つまり、不規則なタイミングで食生活を送っていると肝臓が不健康になり、正常なタイミングで食事をとれば肝機能が正常化するということになります。
ですから肝臓を健康にするためには食事の質や量だけでなく、規則正しい食生活や生活習慣も重要であるということです。
ストレス
ストレスは万病のもとですが、肝臓病もその例外ではありません。
ストレスがたまると高血圧になりやすく、肝臓の機能にも悪影響を及ぼします。
また、ストレス解消のために食事をとりすぎてしまったり、アルコールを飲みすぎてしまったりすると、さらなる悪循環へとつながり、肝臓病になるリスクが高まります。
ストレス解消法はなるべく体に負担をかけないような方法がベストで、運動によってストレス解消ができれば脂肪肝のリスクも減らせ、一石二鳥の方法となるのでオススメです。
肝臓病の症状
肝臓病は特に初期の場合、症状が現れにくく、発見が遅れがちな病気です。
急性肝炎の場合は黄疸や吐き気、倦怠感、食欲減退などわかりやすい症状がでやすいですが、慢性肝炎の場合は基本的に自覚症状がありません。
その他にも肝硬変や肝がんを発症していても無症状なこともよくあり、進行してからはじめて症状を自覚することも多く、肝臓病は早期発見が大事な病気だといわれています。
ですから自覚症状がない場合でも、定期的な検査を怠らず、食生活に気を配って肝臓を労わることが大切です。