依存症とは
依存症には物質的な依存であるニコチン依存からアルコール依存症やプロセスへの依存であるギャンブル依存、借金依存、人間関係に関する依存では共依存、恋愛依存など様々な種類があります。
では、依存症とは一体どういう状態のことを指すのでしょうか?
依存症の基準というのは、日常生活に支障をきたすレベルまで依存している状態でなおかつ、その依存症状を自分一人の力では治すことができない状態のことです。
それでは物質的依存の代表であるニコチン依存とアルコール依存について簡単に解説します。
ニコチン依存症
禁煙とは、喫煙習慣をやめ、ニコチン依存から脱却することです。
ニコチンは他の依存性の強い物質に比べてもとりわけ依存性が強いため、一度依存すると脱却は難しくなります。
そして禁煙をしようと思ってもなかなか自分だけの力で成功する人が少ないのは「離脱症状」があるからです。
喫煙習慣のある人がタバコを吸わない期間が一定過ぎると以下のような禁断症状が発現します。
・イライラといったストレス
・集中力の低下
・頭痛
・眠気
・不眠
禁煙するとこのような症状がでてくるのでなかなか禁煙に成功できない人が多く、禁断症状を抑えるためにタバコを吸い続けるという悪循環が起こります。
喫煙のデメリット
タバコには様々なデメリットがあります。
まず、タバコには200種類以上の有害物質が含まれています。
その中でもニコチンやタールといった物質は依存性が強く、喫煙者がなかなか禁煙できない理由の一つです。
ほかにも50種類以上の発がん性物質を含んでおり、肺がんなどの重大疾患のリスクが高まります。
寿命に関してもタバコを吸う人と吸わない人では10年も違うといわれています。
女性の場合ですと、タバコを吸い続けているとお肌のハリが失われ、顔のしわが深くなり実年齢より老けてみられることも多くなるでしょう。さらに妊娠している場合、胎児に悪影響を及ぼします。
そしてタバコは吸っている本人の健康だけでなく、周りの人の健康をも害します。
タバコの火の先からは「副流煙」という有害物質を含んだ煙がでます。
副流煙を吸い込むことを「受動喫煙」といいますが、タバコを吸っている人が吸い込む「主流煙」よりニコチンやタールといった有害物質が何倍も多く含まれています。
このように受動喫煙がもたらすデメリットが想像以上に大きいことが判明し、社会全体で分煙などの取り組みが行われています。
禁煙のメリット
禁煙には様々なメリットがあります。
・長く禁煙することでタバコを吸わない人と同レベルの健康状態になる
・寝起きがよくなる
・ご飯がおいしく感じられるようになる
・タバコによる口臭が改善
・タバコの費用が浮いてお金が貯まる
このように禁煙にはメリットしかありません。
逆に喫煙にはデメリットしかないといえます。
禁煙したい方は禁煙外来や禁煙治療薬を使った禁煙治療法がオススメです。
アルコール依存症
アルコール依存症は最もよく知られた依存性の一つです
アルコール依存症とは、自分で飲酒のコントロールができない状態のことをいいます。
日本でのアルコール依存症の患者数は230万人程度いるといわれています。
飲む量に歯止めがきかず、飲んではいけないタイミングや状況にもかかわらず飲んでしまっているのであればそれはアルコール依存症といえます。
もし日常の生活のことよりもお酒を飲むことの方が、優先順位が高くなっているであれば治療が必要です。
アルコール依存症は本人の意思で治療するのは難しく、医療機関やアルコール依存症治療薬を使って治すのが賢明な方法です。
アルコール依存症の症状
アルコール依存症には精神的依存と身体的依存の2種類の症状があります。
アルコール依存症になると「飲酒欲求」が常につきまといます。
本人は飲んではいけないと思う気持ちはありつつも何らかの言い訳をしてついついお酒を飲んでしまいます。
この精神依存が重度化すると仕事中に飲酒したり、使ってはいけないお金でお酒を買ったりなど社会的なモラルに反するような行動をしてしまうようになります。
また、身体的依存の症状としてアルコールを飲んでいないと不安感やイライラなどを覚えるようになります。
これが重度化すると手足や全身が震えたり、幻覚や幻聴、妄想といった症状が現れてきます。
そしてこういった禁断症状を抑えるためにアルコールを摂取するという悪循環がアルコール依存症を重度化させていきます。
症状が深刻化すると最悪の場合、うつ病を併発して自殺に至るケースもあります。
そういった悲惨なことが起こらないようにするためには、なるべく軽度の段階で治療をはじめてください。
早ければ早いほど治りやすいので本人の自覚や周囲の助けによってアルコール依存症を克服していきましょう。
アルコール依存症の治療法
アルコール依存症を治療する際、まずは医師と患者が面談し、患者に自分がアルコール依存症であることを認識してもらいます。
そこから2~4週間ほど断酒し、解毒治療を行います。
アルコールを体内から抜き、禁断症状を抑えるための薬を服用しながら治療していきます。
解毒治療が終わり、心身が回復したら次はリハビリ治療を行います。
個人、または集団でカウンセリングなどを行い、断酒を決意してもらいます。
そしてその次は本人や家族の同意の上で抗酒薬の投与を開始します。
リハビリ治療を終えて退院することができたらその後もアフターケアを行っていきます。
アルコール依存症は再発することが多いので一生付き合っていかなくてはいけない病気です。
周囲の助けを借りながら根気強く治療していきましょう。