避妊
望まない妊娠や中絶を避けるため、経口避妊薬やコンドームを用いた対策、避妊に失敗した場合の緊急避妊法を解説します。
避妊 売れ筋ランキング
商品ジャンル
避妊の一覧
避妊とは
避妊とは、ピルやコンドームなどの避妊具、または手術を用いて「望まない妊娠」を回避することを言います。
避妊方法には、低用量ピル、コンドーム、IUS、基礎体温の計測、緊急避妊薬などがあります。
日本では避妊の意識が低くコンドームが主流になっていますが、欧米諸国では避妊に対して積極的で、ピルの服用が一般的です。
簡単に妊娠しない、自分たちは大丈夫と思っていると、避妊の失敗につながります。
また、誤った情報や迷信を鵜呑みにすると、妊娠する可能性や身体に悪影響を及ぼすこともあります。
正しい知識を身につけて、パートナーを思いやり避妊することが大切です。
もちろん大切な相手と性行為をすることは、心の絆を深め合えるコミュニケーションの1つです。
しかし、特に女性にとって妊娠とは、身体にも心にも大きな負担がかかり人生を大きく変えるものです。
そのためにも女性は正しい避妊の知識を身につけて、自分の大切な体を自分でしっかりと守っていくことが大切です。
また男性も自分本位のセックスではなく女性の体を気にかけ、思いやりをもって接していきましょう。
妊娠の仕組み
避妊を確実にしていくためにも、まずはどのようなプロセスを経て妊娠にいたるのかを理解していきましょう。
女性の身体には1ヶ月で「排卵」と「月経」を繰り返す、妊娠するために必要なサイクルがあります。
このサイクルは女性ホルモンによって、特に成熟期(18歳~40代半ば)で活発に働きます。
これに加えて「排卵」→「射精」→「受精」→「着床」の流れが整い、ようやく妊娠するのです。
女性の月経が始まる頃には、卵巣に約20個の卵胞が生じます。
20個のうち1個の卵胞が成長し、生理の2週間前にようやく卵巣から飛び出し【排卵】します。
排卵した卵子は子宮へと繋がっている卵管という管にくっつき、約24時間生存することが可能です。
これに男性から射精された精子が子宮の入り口(子宮頚管)に入って子宮内をのぼり、卵管の「卵管膨大部」にある卵子と出会います。
数千万個~数億個の精子のうち、最終的に生き残った1個の精子は約1時間で卵子にたどり着き【受精】します。
受精した受精卵は細胞分裂を4回繰り返しながら、子宮へと進みます。
ようやく子宮にたどり着いた受精卵は、子宮内膜に【着床】し妊娠が成立するのです。
上記のような流れが全て体の中で起こるので、女性には以下のような体調の変化が現れます。
- 生理が来なくなる
- 基礎体温の高温期が続く
- 味覚、臭覚の変化
- 頻尿、便秘、下痢
- おりものの変化
- 体のだるさ、眠気
- 精神的に不安定
- つわりの症状が現れる
- 乳房が張る、乳首がチクチクする
コンドームなどを使い避妊をしていたつもりでも、上記のような「妊娠初期症状」が現れましたら、妊娠している可能性があります。
様々な避妊方法
避妊を行う方法はいくつかあり、それぞれメリットとデメリットが存在します。
また女性自身が自分の体を守ることができる避妊方法もありますので、以下を参考にしてください。
低用量ピルの服用
避妊失敗率:0.1%~6.0%
ピルは経口避妊薬とも呼ばれ、女性ホルモンを含んでいる飲み薬になります。
低用量ピルのメリット
- 女性主体で避妊できる
- 正しい服用をすれば、ほぼ確実に避妊できる
- 開始、中止が簡単
- 生理周期が整う
- 生理痛が軽くなる
- ニキビ、多毛の改善
- 卵巣がん、子宮内膜症の予防
低用量ピルのデメリット
- 副作用を感じる人もいる
- 性感染症の予防は不可能
- 毎日の服用が必要
代表的な低用量ピルの種類
日頃から常用するピルとして、現在主流となっているのが低用量ピルです。
他にも含有される卵胞ホルモンの量により、超低用量ピル、中用量ピル、高用量ピルがありますが、現在避妊には低用量ピルが一般的に用いられます。
緊急避妊法(モーニングアフターピル)
モーニングアフターピル(緊急避妊薬)は他の方法とは異なり、避妊に失敗した際やレイプなどによる妊娠を防ぐ方法です。
アイピルなどの大量に黄体ホルモンを含んだ薬を、性行為後72時間以内に服用すると約81%の割合で妊娠を防ぎます。
すでに妊娠している場合の使用はできません。
そのため服用前に妊娠検査を行うか、医師に診察をしてもらいましょう。
男性用コンドーム
避妊失敗率:約2%~10%
コンドームはご存知の方も多いと思いますが、男性器に被せて使用する避妊具です。
コンドームのメリット
- 性感染症の予防にもなる
- お手軽に入手できる
- 安価
コンドームのデメリット
- 避妊の失敗率が高い
- 勃起していないと使用できない
- 快感が多少損なわれる
- 男性の避妊意識に委ねられる
IUS(子宮内避妊システム)
避妊失敗率:0.1%~0.8%
IUSは子宮内に入れる小さな避妊器具です。
※黄体ホルモンを放出し、一度挿入すると最長5年の避妊効果が続きます。
※黄体ホルモンとは子宮内膜を厚くする働きがあります。
この働きを生かし、受精卵の着床を防ぎます。
IUSのメリット
- 女性主体の避妊ができる
- 生理の量が減り、生理痛が軽くなる
- 薬を服用しなくて良い
IUSのデメリット
- 器具挿入後、生理以外の出血が続くこともある
- 医師による処置が必要
- 性感染症の予防はできない
- 出産経験がないと利用しにくい
IUSに似た形式でIUD(子宮内避妊用具)という、銅が付加されているものもあります。
これはIUSとは反対に生理の量が増える可能性が考えられます。
基礎体温の計測
女性は基礎体温を測ることで、妊娠や避妊に役立てることができます。
「婦人体温計」を使用して、朝、目が覚めたら布団の中で活動を始める前に体温を測ります。
体温計は舌の裏の付け根に当て、できるだけ毎日同じ時刻に測定してください。
測り終えたら表示された体温を「基礎体温表」に記録し、グラフを作成します。
通常低温相だった体温が、生理開始と共に高温相となり「排卵」のサインとなります。
体温が低い低温相の最終日前後の4~5日間は「排卵期間」で妊娠しやすくなります。
この方法で排卵日を計算することは、自分の身体を知るきっかけにもなります。
避妊の必要性
健康な男女が排卵日に避妊をせずに性行為を行った場合、妊娠する確率は約20~30%と言われています。
妊娠する確率自体はあまり高くありませんが、平成22年の厚生労働省の調査によると、望まない妊娠をきっかけに結婚する「できちゃった結婚」いわゆる「でき婚」が若い世代で多く報告されています。
出産した人のうち10代で約80%、20代で約60%の方ができ婚による出産であったという、とても高い数字になっています。
また、でき婚での離婚率は19歳以下で58.4%、20~24歳は42.5%とこちらも若い人ほど離婚する確率は高くなります。
このような結果が出ているにも関わらず、避妊をせずに性行為をする男女は少なくありません。
約60%の女性は妊娠を望んでいないのに、避妊をしていないという結果も出ています。
ではどうして妊娠する確立が高い若い世代は避妊をしないのでしょうか。
それには以下の理由が挙がっています。
- 安全日だったから
- 子供ができても良いと思った
- 大丈夫な気がした
- 避妊したいことを言い出せなかった
- 避妊の準備をしていなかった
- めんどくさかったから
性交中の主導権は女性よりも男性にあることが多く、一時の勢いに任せてセックスに及ぶことがあります。
自分自身の感度を優先するため「膣外射精をすれば大丈夫」などと考えている男性がいることは事実です。
そのような男性本位の考えに流されないように、女性自身で自分の体を大切にしていきましょう。
計画性の無い妊娠は、現在の日本でも深刻な問題となっているシングルマザーや、中絶したことによる不妊症の発症にも影響してくる可能性があります。
大切なパートナーのためにも思いやりをもって、2人で話し合いながら正しい避妊をしていきましょう。
誤った避妊の知識
現在はネットやニュースから、様々な情報を簡単に得ることができます。
人に聞きづらいようことや、相談できないことも解決しやすくなりました。
しかし中には間違った情報があり、惑わされてしまうと取り返しのつかないことにもなりかねません。
避妊方法にも以下のような誤った知識がありますので、注意してください。
膣外射精または性交途中からコンドームの着用
射精前の「カウパー線液」にも精子は含まれています。
コンドームはペニス勃起後、挿入前に装着しなければ意味がありません。
厚生労働省の調査では性交経験のある女性22.4%が「膣外射精」を主な避妊方法として選んでいるとの結果が出ています。
膣外射精のリスクの高さを認識する必要があります。
生理中は妊娠しない
基本的に生理中は排卵をしませんが、生理が長引いたり不順である場合、排卵周期がずれる可能性があります。
そのため排卵日が正確に判断できません。
生理中であっても避妊をする必要があります。
安全日は妊娠しない
女性にとって絶対に妊娠しない日というものはありません。
安全日という言葉の響きに惑わされないように気を付けてください。
生理不順の人は妊娠しにくい
生理不順の方は排卵日を把握しづらいため、生理周期が安定している人よりも気をつけなければいけません。
安全日が正確に分からないからこそ、避妊失敗のリスクが高くなります。
膣内射精をしても洗えば大丈夫
膣内に入った精子を完全に洗い流すことはできません。
精子の量に関わらず、妊娠する可能性があります。
精子は一度外気に触れると死滅する
単体で空気に触れてしまうと精子は死にますが、射精直後は前立腺液で守れらています。
そのため外気に触れても、すぐに死滅するわけではありません。
避妊方法の迷信
上述の「誤った避妊の知識」以外にも、ありえないような避妊方法が噂で広がっているのも現状です。
「こんなことで避妊できるわけが無い」と分かっている方が多いと思いますが、生殖能力の高い時期である若い女性ほど「簡単に妊娠はしない」と考えている方が多いので、以下の迷信にご注意ください。
- 女性がオーガズム(絶頂)に達しなければ妊娠しない
- 女性が上位になる体位では精子が流れ落ちる
- カフェインで不妊になる
- コーラで膣を洗浄すれば妊娠しない
- 3回ジャンプすれば大丈夫
このような情報は全て科学的に証明がされていません。
そのため、これらの迷信を信じて誤った避妊を行うと、妊娠する可能性があることはもちろん、身体にも影響を及ぼしてしまうかもしれません。
正しい避妊の知識を身につけて、自身を大切にしてください。
避妊意識と中絶率
避妊は本来「相手を思いやる」気持ちのもとにするものです。
しかし、単純に欲求を満たすだめだけに、性行為をしたいなどという安易な考えに基づく性交開始の低年齢化によって、20歳未満の中絶率が2006年から2011年までに約5%も増加しました。(日本性教育協会調べ)
特に16・17・18歳の中絶率が高く、生活環境の変化が原因として考えられています。
若い人への"性"について正しい知識を伝える大人が周りにおらず、メディアなどを通して間違った性知識が溢れており「妊娠なんてそんなに簡単にしないだろう」という安易な考えが避妊の失敗を引き起こしているのです。
また若い世代に限らず、日本人の避妊意識の割合は高くありません。
厚生労働省の研究班が平成22年に未婚男女に対して行った「男女の生活と意識に関する調査」では以下のような結果が報告されました。
避妊をいつもしている | 男性:42.8% | 女性:37.3% |
---|---|---|
したりしなかったり | 男性:21.6% | 女性:25.0% |
避妊しない | 男性:32.9% | 女性:32.1% |
このことから日本人は避妊を意識することが少ない傾向にあります。
自分たちはまさか妊娠しないだろうという油断は禁物です。
しっかりと避妊についてパートナーと話合っていきましょう。
日々すさまじい勢いで発展している現代の科学を用いれば、ほぼ確実に避妊することができるようになりました。
しかし、今から約300年前、「江戸時代」の性事情はどのようになっていたのでしょうか。
性に対する考え方は現代の日本とは大きく異なり、大らかで開放的だったそうです。
一般市民は基本的に避妊を行ってはいませんでしたが、妊娠はご法度であった吉原遊郭の遊女たちは、日常的に避妊をしていました。
ではゴム素材が一般的ではなかったこの時代に、遊女たちはどのように避妊を行っていたのでしょうか。
それは【和紙】を使った避妊です。
和紙の一種である「御簾紙(みすがみ)」というとても薄い丈夫な紙を、遊女は口に含み柔らかくし、丸めた物を局部に詰めて使用していました。
それに加えて性行為後は、ひたすら水で膣内を洗い流していたそうです。
他にもピルのような避妊薬「月水早流」や「朔日丸(ついたちがん)」という庶民の中でも有名なお薬があったそうですが、値段が非常に高いのに対して効果はよくありませんでした。
このような避妊をしていても妊娠してしまった場合、水銀を含んだ中絶薬「中条丸」を服用したり、かなり強引な方法で中絶を行っていました。
そのため避妊をするにも、中絶をするにも女性の体に大きな負担がかかっていたのです。
世界の避妊事情
世界158カ国地域を対象に行った、避妊の普及率ランキングは以下のようになっています。
- 1位 ノルウェー 88.4%
- 2位 ポルトガル 86.8%
- 3位 チェコ 86.3%
日本の避妊普及率は54.3%で世界ランキング78位と、とても低い結果です。
日本では主にコンドームを使っての避妊が一般的だと考えられていますが、フランスやイギリス、アメリカなどの欧米諸国ではピルによる避妊が圧倒的に多いのです。
なぜこのように、海外では多くの女性がピルを活用し避妊を行っているのでしょうか。
それは、性に対する意識が日本人の女性と大きく異なるということです。
日本人は「妊娠したら母体に害がある場合以外産むべき」などの考えが根深くあります。
しかし欧米諸国では「妊娠・出産は女性だけに与えられた恵み」という意識が強いので、女性は自分の体を守るために避妊に対しても積極的に行うのです。
またイギリスでは無料でピルが手に入り、習慣として出産が可能な年齢の女性の多くがピルを服用しているそうです。