タダラフィルとは
タダラフィル（Tadalafil）とは
タダラフィル（Tadalafil）は、バイアグラやレビトラと並んで「三大ED治療薬」のひとつに数えられるシアリスの有効成分です。
バイアグラの有効成分シルデナフィル、レビトラの有効成分タダラフィル塩酸塩に比べて、緩やかに効果を現すのが特徴で、これによって効果が長時間持続し、副作用が少ないのが強みです。
ここではそんなタダラフィルの基本情報、そしてタダラフィルを含有する医薬品についてまとめています。
また、安全性が高いといっても副作用を引き起こすリスクがあること、併用禁忌薬や併用注意薬があることなどについても触れているので、そちらもあわせてご覧ください。
タダラフィルの効果
タダラフィルにはED（勃起不全）の直接的な原因である酵素PDE5（ホスホジエステラーゼ5型）のはたらきを阻害し、勃起する状態に整える効果があります。
自分の意思に反して途中で勃起がおさまってしまう「中折れ」にお悩みの方にもおすすめです。
また、勃起した陰茎のサイズ、硬さの増強効果も期待できます。
緩やかに効果が現れるという特徴があることから、シルデナフィルやバルデナフィル塩酸塩に比べると即効性はやや劣ります。
しかし、その短所を補って余りある強みがあります。
それが「効果の持続時間」です。
シルデナフィルは約6時間、バルデナフィル塩酸塩は約8時間効果が持続するのに比べて、タダラフィルは約24～36時間持続します。
極端な話をすれば、金曜日の夜に服用すれば日曜日の午前中までたっぷり効果を持続させることもできます。
このことから、海外ではシアリスを「週末を楽しむための薬」という意味合いで「ウィークエンド・ピル」と呼ぶこともあるようです。
このほかにも食事の影響を受けにくいこと、副作用が少ないことが長所として挙げられます。
タダラフィルの副作用
タダラフィルはマイルドに効いていくことから人体への負担が少なく、シルデナフィルやバルデナフィル塩酸塩に比べて副作用の発症率が低いとされています。
しかし、そのリスクがまったくないわけではなく、個人差によって使用後に副作用が生じることがあります。
主な副作用として頭痛や顔のほてり、紅潮、消化不良などが挙げられます。
これらはタダラフィルの血管拡張作用によって生じる症状なので、使用する以上はどうしても発症する可能性があります。
しかし、その程度は軽度であることがほとんどです。
発症したとしても日常生活に支障をきたすほどではなく、タダラフィルの効果が薄まると同時に自然と治まっていきます。
ただし、症状が悪化した場合やタダラフィルの効果が切れてもなお続いている場合は、医師に相談することをおすすめします。
一方、重篤な副作用としてアレルギー症状も確認されています。
発症頻度はごくまれですが、顔面浮腫（むくみ）や蕁麻疹といった症状が現れた場合は、医薬品の使用を中止してすみやかに受診するようにしましょう。
タダラフィルを含む医薬品
タダラフィルを含有する医薬品としてシアリスが有名です。
しかしそのほかにも、前立腺肥大症に伴う排尿障害の改善薬であるザルティア、肺高血圧症治療薬であるアドシルカがタダラフィルを含有しています。
ここでは、それらの医薬品についてまとめています。
シアリス
シアリスは、“第三のED治療薬”としてアメリカのイーライリリー社が開発した医薬品です。
国内では2007年7月に販売が開始され、それ以降、多くのED患者が利用しています。
現在はバイアグラを抜いて、世界No.1のシェア率を誇る人気の高いED治療薬です。
経口服用することで効果が得られる内服薬であり、その剤形は黄色の卵形をしています。
タダラフィルの含有量にあわせて5mg錠、10mg錠、20mg錠の3種類が開発されています。
ED治療を行う医療機関のほとんどで処方してもらえますが、保険適用外であることからその費用を全額負担する必要があります。
これはシアリスが「薬価基準未収載医薬品」に分類され、明確に薬価が定められていないためです。
ザルティア
ザルティアは日本新薬株式会社が開発し、2014年4月から国内での販売が開始された前立腺肥大症による排尿障害の改善薬です。
1日1回1錠を服用する内服薬であり、その剤形には白色の卵形をしているという特徴があります。
有効成分タダラフィルによる血管拡張作用、前立腺や膀胱の平滑筋を弛緩させる作用により、前立腺肥大症を原因とする排尿障害を治療・改善します。
現在は、前立腺肥大症による排尿障害の第一選択薬として、多くの医療機関が使用しています。
また、排尿障害の治療を行う際に限り、健康保険が適用される点が特徴として挙げられます。
アドシルカ
アドシルカは、日本新薬株式会社が製造・販売する肺高血圧症治療薬です。
卵形をした赤褐色の錠剤であり、1日1回2錠（40mg）を経口服用することで効果を発揮します。
この薬は、何らかの原因によって心臓から肺に血液を送る肺動脈の血圧が上昇することで起こる、肺高血圧症の治療に用います。
アドシルカを服用することで有効成分タダラフィルの血管拡張作用がはたらき、肺動脈を広げます。
これによって肺動脈の血圧低下の緩和を促し、症状を治めます。
ザルティアと同じく、肺高血圧症の治療を目的とする場合に限って健康保険が適用されます。
タダラフィルのジェネリック
すでに紹介したシアリス、ザルティア、アドシルカはいずれも新薬（先発医薬品）として開発されました。
しかし、タダラフィルを有効成分とする医薬品の中にはジェネリック医薬品（後発医薬品）もあります。
ジェネリック医薬品は、新薬よりも開発コストが抑えられていることから価格が安いという特徴があります。
ここでは、シアリスのジェネリック医薬品として開発され、ED治療に用いられる製品についてまとめています。
シアスマ
シアスマはスマート社が製造・販売するED治療薬です。
黄色の円形で、性行為に及ぶ3時間ほど前に服用することで効果を発揮します。
タダラフィルの血管拡張作用によって陰茎に流れ込む血液量を増やすことで、スムーズな勃起をサポートしてEDを改善します。
このような効果が最大で約36時間持続し、その間であれば何度でも自然な勃起が可能です。
日本では未承認となっているので病院で処方されることはありませんが、通販で購入できます。
1錠につきタダラフィル20mgを含有する製品なら1錠あたりの平均価格が約400円となっています。
これはシアリスの約1/4ほどの値段に当たります。
タダシップ
タダシップはインドを代表する製薬会社のひとつ、シプラ社が開発したジェネリック医薬品です。
タダラフィルの血管拡張作用によってEDを改善し、スムーズな勃起をサポートします。
こちらも日本では未承認ゆえに病院では処方されませんが、海外製の医薬品を扱う通販サイトを利用することで購入することが可能です。
10mg錠と20mg錠の2種類が販売されており、いずれもシアリスの約1/4の価格で購入できるのも大きな特徴として挙げられます。
このことから、治療費を節約するためにシアリスからシフトする人も少なくありません。
タゼル
タゼルは、ドクターレディー社が開発したジェネリック医薬品です。
有効成分としてタダラフィルを含有しており、その血管拡張作用によってEDを改善し、勃起をサポートします。
ED治療における効果や作用機序はシアリスと変わらないものの、錠剤ではなく薄いフィルムシート状であるという点が大きな相違点として挙げられます。
舌の上に乗せるだけで自然に溶け、タダラフィルが浸透していくため、水やぬるま湯を用いることなく気軽に使用できます。
シート1枚で300円程度と安価な点もポイントで、通販で購入することが可能です。
スーパーシアスマ
スーパーシアスマは、インドのスマート社が開発したジェネリック医薬品です。
含有するタダラフィルによって、24～36時間の長い効果が期待できます。
また、シアリスやほかのシアリスジェネリックにない特徴として、「早漏防止効果があること」が挙げられます。
スーパーシアスマは、世界で初めて早漏防止薬と認められたプリリジーの有効成分ダポキセチンをタダラフィルとともに含有しており、この成分のはたらきによって射精に至るまでの時間を延長することができます。
1錠あたりタダラフィルを20mg、ダポキセチンを60mg含む製品を通販で購入することが可能です。
価格相場は1錠あたり500円前後となっています。
タダラフィルの作用機序
そもそも勃起とは、ペニスに血液が流入して海綿体が膨張することによって起こる現象です。
その発端は、cGMP（グアノシン一リン酸）が生成されることで、cGMPには筋肉の緊張をほぐしたり血管を拡張したりするはたらきがあります。
体内でNO（一酸化窒素）が発生することで生成されます。
cGMPがペニスの血管拡張・血液流入・海綿体膨張をもたらし、勃起が可能となります。
しかし、何らかの原因によってcGMPを阻害する酵素、PDE5（ホスホジエステラーゼ5型）が過剰に増加すると、上記のような効果を得られなくなります。
本来ならcGMPの血管拡張作用によって勃起するはずが、PDE5が過剰に作用することでcGMPのはたらきが弱まり、正常に勃起しなくなります。
タダラフィルには、PDE5を阻害するはたらきがあります。
これによって、cGMPが正常に効果を発揮できる状態を作ります。
その結果、血管拡張作用が再びはたらくようになり、スムーズに勃起することができるようになります。
タダラフィルの併用禁忌薬
EDや前立腺肥大症による排尿障害、肺動脈性肺高血圧症など、幅広い症状に効果的なタダラフィルですが、使用する際は併用禁忌薬と併用しないように注意しましょう。
併用禁忌薬とは、併用することで人体に深刻な悪影響を及ぼすリスクが高い医薬品をいいます。
タダラフィルの併用禁忌薬として挙げられる主な医薬品は、「硝酸剤」や「NO供与剤」といったものです。
万が一これらの医薬品と併用してしまうと、相互作用によって血圧が急激に低下する危険があります。
タダラフィルの併用注意薬
タダラフィルには併用禁忌薬だけでなく、併用注意薬もあります。
併用注意薬とは、併用できるがその際は医師から適切な指示を仰いだうえで慎重に使用する必要がある医薬品をいいます。
タダラフィルの併用注意薬として、たとえば「CYP3A4阻害剤」「CYP3A4誘導剤」「降圧剤」などが挙げられます。
これらの医薬品と併用すると、タダラフィルの代謝（分解）が異常に促進されたり、逆に代謝が正常になされなかったりすることで具合が悪くなってしまう可能性があります。