シルデナフィルクエン酸塩とは
シルデナフィルクエン酸塩（Sildenafil）とは
シルデナフィルクエン酸塩とは、勃起不全 (ED) および肺動脈性肺高血圧症にも使われる治療薬の成分です。
「バイアグラ」は世界で最初に販売されたED治療薬です。ED治療薬のジャンルにとどまらず最も有名な医薬品のひとつとなっています。
もともとは狭心症の治療薬として研究・開発をしていたところ、臨床試験の被験者から「ペニスの勃起を促進する」という報告がされたため、勃起の促進をシルデナフィルの適応症としてあらためて研究・開発する事になりました。
シルデナフィルの効果
シルデナフィルは勃起を助けるはたらきがあり、男性のED（勃起不全）あるいは勃起障害の治療に効果を示します。
ペニス周辺の緊張をゆるめ、血管を拡張させ、血流量を増やすことによって勃起を促進すると考えられています。
勃起不全（ED）は心因性ED、器質性ED、混合性ED、薬剤性EDに大別することができますが、シルデナフィルは心因性ED、器質性ED、混合性EDに対して効果を示します。
性的刺激がまったくない場合に勃起させる効果はありません。
性的な気分を上昇させたり性欲（リビドー）を増加させる効果はありません。
精液及び精子の量を増やす効果は無いため、不妊症には適応がありません。
ペニス以外の部位への血管拡張効果もあることから前述の肺動脈性肺高血圧症治療薬としても承認を受け、慢性心不全治療などへの転用も研究開発されています。
シルデナフィルの副作用
シルデナフィルには副作用があるため、服用にあたって注意が必要な医薬品です。
バイアグラが日本で承認される際行われた臨床試験では、主な副作用と発現率は以下のようになっています。
血管拡張（ほてり、潮紅）は157例中17例（10.83％）
頭痛は17例（10.83％）
CK（CPK）増加は9例（5.73％）
気をつけなければいけない副作用として非動脈炎性前部虚血性視神経症（NAION）という視力に著しい悪影響が出る症状との因果関係が報告されています。
シルデナフィルを含む医薬品
シルデナフィルを含む医薬品は後発薬も入れるとかなりの数が存在しますが、後発薬については後述します。
ここではシルデナフィルを含む先発薬についてご説明します。
バイアグラ
バイアグラはアメリカのファイザー社が創薬した世界で初めてのED（勃起不全）治療薬です。
アメリカで1998年に発売され、日本国内では1999年に発売されました。
アメリカではシルデナフィルとして25mg/50mg/100mgの3種が販売されていますが、日本の医療機関では100mgは処方されていません。
剤形としては一般的な錠剤のバイアグラ錠と、水無しでも服用が可能なフィルム状のバイアグラODフィルムが販売されています。
バイアグラが勃起を促進する仕組みは、血管を拡張させ、海綿体に流れ込む血流量を増やすことで勃起を促します。
バイアグラは服用から1時間ほどで体に吸収され、その後効果が5時間程度続きます。
そのため、性行為の1時間前に服用する必要があります。
注意事項としては、バイアグラは食事の影響を受けやすいので空腹時に服用する必要があります。
食後だと効果が半減したり効果が現れるまで通常より時間がかかります。
50mgの1錠あたりの価格は1500円ほどで処方・販売されています。
レバチオ
レバチオはバイアグラと同じアメリカのファイザー社が製造・販売している
適応症がバイアグラとは異なりますので、当然ながら用法・用量も違います。
日本国内ではシルデナフィルとして20mgが含まれるレバチオ錠20mgが販売されています。
肺高血圧症治療薬のレバチオ錠の用法・用量は成人の場合、1回20mg（1錠）を1日3回経口投与することとされています。
剤形は錠剤以外にODフィルム、シロップが存在します。
シルデナフィルのジェネリック
シルデナフィルを含むED治療薬は、バイアグラの製造特許が切れているため、国内外の製薬会社からジェネリック薬（後発薬）が製造・販売されています。
有効成分の
以下に人気のシルデナフィルを含んだジェネリック薬をご紹介します。
カマグラ・ゴールド
カマグラ・ゴールドはインドのアジャンタファーマ社が製造販売しているED治療薬です。
シルデナフィルの含有量は50mgと100mgが販売されています。
効果効能や用法・容量や服用の注意点、併用禁忌薬や併用注意薬はバイアグラとすべて同じです。
日本国内では現状未承認のため処方されません。
当サイトでは50mgの1錠あたりの価格は最安で368円から販売しています。
バイスマ
バイスマはインドのスマート社が製造販売しているED治療薬です。
シルデナフィルの含有量は50mgと100mgが販売されています。
効果効能や用法・容量や服用の注意点、併用禁忌薬や併用注意薬はバイアグラとすべて同じです。
日本国内では現状未承認のため処方されません。
当サイトでは50mgの1錠あたりの価格は最安で315円から販売しています。
100mgの1錠あたりの価格も50mgと同じく最安で315円で、半分にピルカッターで割りやすいように割線が入っているので成分量の調節が可能なので100mgを割って服用するとコストパフォマンスが高いです。
ノボシル（バイアグラODフィルム）
ノボシルはインドのAavishkar Oral Strips社が製造販売しているED治療薬です。
バイアグラODフィルムのジェネリック薬となり、剤形もODフィルムなので水なしで飲めるメリットがあります。
シルデナフィルの含有量は50mgのみが販売されています。
効果効能や用法・容量や服用の注意点、併用禁忌薬や併用注意薬はバイアグラとすべて同じです。
日本国内では現状未承認のため処方されません。
当サイトでは50mgの1シートあたりの価格は最安で261円から販売しています。
スーパーバイスマ
スーパーバイスマはインドのスマート社が製造販売しているED治療薬です。
ED治療のシルデナフィルに加えて、早漏防止のダポキセチンという成分が含まれた複合医薬品です。
ダポキセチンを含む先発薬はプリリジーという商品名で販売されています。
スーパーバイスマはシルデナフィルとして100mg、プリリジーとして60mgが含まれている1種類のみが販売されています。
効果効能や用法・容量や服用の注意点、併用禁忌薬や併用注意薬はバイアグラ、プリリジーと同じです。
日本国内では現状未承認のため処方されません。
当サイトでは1錠あたりの価格は最安で362円から販売しています。
シルデナフィルの偽物
シルデナフィルを含んだ医薬品、とくにブランド力が有り高値で売れるバイアグラには残念ながら偽物が存在します。
偽物は服用したあとの溶解スピードが違ったり成分量が記載されている量よりも少なくなっています。
当サイトはすべて成分鑑定された本物を扱っていますのでご安心ください。
それでも心配な方は偽物がほぼないジェネリック薬を選択すると良いでしょう。
シルデナフィルの作用機序
この項目では、特にED（勃起不全）治療に使われる際シルデナフィルの作用機序をご説明します。
勃起の仕組み、シルデナフィルの作用機序に分けてご紹介します。
【勃起の仕組み】
性的刺激を受け、脳に伝わると中枢神経が興奮状態になります。
すると、ペニス周辺の細胞内で環状グアノシン一リン酸（cGMP）という血管を拡張させる働きがある物質が増加します。
その結果、血液が海綿体に流れ込んで血液の圧力で海綿体は硬く膨れるのが勃起という現象です。
射精後や性的興奮が収まったあと、環状グアノシン一リン酸（cGMP）は海綿体に存在する5型ホスホジエステラーゼ (PDE-5) という酵素によって分解されます。
その結果、血流が通常時に戻って勃起が収まる仕組みです。
【シルデナフィルの作用機序】
シルデナフィルは、環状グアノシン一リン酸（cGMP）を分解する5型ホスホジエステラーゼ (PDE-5) の活性を阻害します。
環状グアノシン一リン酸（cGMP）が分解されずに有意に働いてくれるので勃起しやすく、萎えにくい状態になるのです。
シルデナフィルの併用禁忌薬
シルデナフィルを服用するにあたり、絶対に併用してはいけない（一緒に使ってはいけない）併用禁忌薬が存在します。
・硝酸剤及びNO供与剤
併用することで降圧作用が増強され、過度に血圧を下降させることがあります。
薬剤名：ニトログリセリン、亜硝酸アミル、硝酸イソソルビド等
・アミオダロン塩酸塩
併用することでQTc延長作用が増強するおそれがあります。
薬剤名：アンカロン錠
・sGC刺激剤
併用することで症候性低血圧を起こすことがあります。
薬剤名：リオシグアト（アデムパス）
シルデナフィルの併用注意薬
シルデナフィルを服用するにあたり、注意して併用しなければいけない併用注意薬が存在します。
・チトクロームP450 3A4阻害薬
併用することでシルデナフィルの代謝が阻害され血漿中濃度の上昇するおそれがあります。
薬剤名：リトナビル、サキナビル、ダルナビル、エリスロマイシン、シメチジン、ケトコナゾール、イトラコナゾール等
・チトクロームP450 3A4誘導薬
併用することでシルデナフィルの代謝が促進され血漿中濃度が低下するおそれがあります。
薬剤名：ボセンタン、リファンピシン等
・降圧剤
併用することで降圧作用を増強させるおそれがあります。
薬剤名：アムロジピン等
・α遮断剤
併用することで降圧作用が増強されめまい等の自覚症状を伴う血圧低下をきたすおそれがあります。
薬剤名：ドキサゾシン等
・カルペリチド
併用することで降圧作用を増強させるおそれがあります。
シルデナフィルの歴史
1990年代前半、世界的な製薬企業ファイザー社の英国にあるファイザー・サンドウィッチ研究所でシルデナフィルは研究開発されました。
当初は狭心症の治療のために開発がされていましたが、英国における臨床試験では狭心症に対して、その有効性は認められませんでした。
ファイザー社は臨床試験の中止を決定し、臨床試験の被験者たちに狭心症治療薬としてのシルデナフィルを返却するように伝えましたが、被験者は返却したがりませんでした。
担当者が被験者にヒアリングすると、勃起を促進する作用があるためということで、この副作用を適応としてED治療薬としてあらためて研究開発がされることになり、1998年にアメリカでバイアグラとして販売されることになりました。
日本におけるシルデナフィルの歴史は、1998年にアメリカでバイアグラが販売されても日本国内では承認がなく、処方されない状況の中、個人輸入によってバイアグラを入手する人があらわれました。
しかしシルデナフィルの禁忌を知らず、ニトログリセリンなどの狭心症治療薬と併用した男性が死亡するなどしたため、厚生労働省は異例の速さで承認をして利用者の安全確保を図りました。
その結果アメリカでの販売開始に遅れることわずか1年、翌年の1999年には承認されて医療機関で処方されるようになりました。
2014年にはバイアグラとしての成分特許が切れたため、他社から後発薬（ジェネリック薬）が製造販売されて現在に至ります。