国内で感染率が高いだけに、どこの病院でも淋病の検査は行うことができます。
時に「性病は恥ずかしいもの」とタブー視してしまい、変に不安になることや知られたくないと隠したくなることもあります。
気持ちは分かるものの、淋病が自然治癒することはありません。
淋病は、ジスロマックやクラビット、クラリスロマイシンなどの抗生物質を使えば治る感染症です。
もし病院に抵抗があるのであれば、個人的に検査や治療する方法もあります。
感染していたならば、自分のためにもパートナーのためにも性病治療を行っていきましょう。
淋病の症状は、紀元前400年前からほとんど変わっていないとされています。
淋病は医学用語で「Gonorrhoea」になります。
これは精液を意味する「Gono」と流れるを意味する「rhein」を組み合わせられている言葉で、2世紀ごろに名づけられました。
淋病の特徴的な症状である膿(うみ)がでるのを、精液があふれ出たものと思ったことから「Gonorrhoea」になったとされています。
ちなみに医療関係者の間では患者さんに分からないように隠語を使うことがあるらしいのですが、もし「ゴノ」といっていれば、それは淋病のことを意味します。
淋病に感染してから現れる症状は、男女によって異なります。
また、あくまでも目安ですが、次の潜伏期間(症状が現れるまでの期間)とウィンドウ期間(感染から検査可能になるまでの期間)を参考にしてみてください。
◎潜伏期間・・・1~14日
◎ウィンドウ期間・・・24時間
ウィンドウ期間は、細菌やウィルスに感染してから検査が可能になるまでの期間となっています。
ここからは、男女別に淋病の初期症状をご紹介していきます。
男性の症状
男性のケースでは、淋病に感染したことを自覚しやすいと言われています。
主に感染するのは尿道となり、尿道炎を起こします。
- 激しい痛みがある排尿痛
- 膿(うみ)の分泌
- 尿道にかゆみや違和感
- 睾丸(こうがん)の腫れ
- 発熱
粘り気がある膿がでることなどがありますが、なにより「二度とトイレにいきたくない」と思うほどの激痛に襲われます。
このことから無自覚のまま淋病を放置するということは、男性には少ないとされています。
尿道→前立腺→精巣上体
前立腺に淋菌が移行してしまうと、「前立腺炎」や「血性液症」になるとされています。
症状の中に精巣上体の腫れとありますが、ここまで気づかずに進行してしまうケースは珍しいといえます。
万一、精巣上体が炎症を起こし「精巣上体炎」になると、治療後に「無精子症」となり男性不妊の原因となることがあります。
女性の症状
女性のケースでは、淋病感染に対して無自覚になってしまうことが多いとされています。
およそですが、80%の人が感染に無自覚と言われています。
男性もですが、淋病はクラミジアとの合併率が20~30%と高いことから、特に女性は不安行為の後は初期症状に注目してみてください。
女性は子宮の入り口である子宮頚管に感染し、「子宮頚管炎」を起こします。
- オリモノが増加
- 不正出血
- 下腹部に痛み
- SEX時に痛み
こういった初期症状はクラミジアにも似ていて、体調不良やホルモンバランスの乱れ、生理前などに似ていることから無自覚となりやすいです。
女性の膣の構造は、男性のペニスよりも複雑です。
つまり、感染して無自覚なまま放置してしまうと、次第に奥へと感染が広がっていきます。
子宮頚管→子宮内膜→卵管→骨盤腹膜→肝臓
卵管や骨盤腹膜が炎症を起こしてしまうと、不妊症や子宮外妊娠などの原因になってきます。
万一に備えて、不安な時は性病検査をすぐに行いましょう。
咽頭(ノド)の症状
淋菌が咽頭(ノド)に感染してしまうと、「咽頭淋病」を起こします。
これは男女ともに共通していて、次のような症状を伴います。
こういった症状がみられるものの、咽頭淋病は症状がでないことも多いと言われています。
性器へ淋菌が感染した男女の約30%は、咽頭からも症状が確認されているとのデータもあります。
もちろん、オーラルセックスが原因で咽頭だけに感染してしまうケースもあります。
淋病は性器だけでなく、咽頭にも感染しているケースがあるだけに、2つの箇所の検査を行うことが大切になります。
~日本での淋病の言い伝え~
淋(さび)しい病気と書いて淋病ですが、地方では昔に淋病のことをこのように言っていたそうです。
「淋病になれば、女郎にも相手にされなくなり、おちんちんが淋しいから泣く病気」
このように淋しさや悲しさを表現した病気とイメージしてしまいがちですが、実は木々の葉から雨がポタポタ落ちることをイメージしたとされています。
実際に淋病になると、尿の勢いが低下してしまい排尿がポタポタとしかでなくなるので病名として使用されたと考えられています。
淋病の原因となるのは「淋菌」と呼ばれる真正細菌がとなっています。
世界的にこの菌が発見されたのは1873年になり、日本がちょうど明治維新のころとなっています。
この淋菌を発見したのはナイセリア博士です。
博士にちなんで淋菌は「Neisseria Gonorrhoea」という学名がついています。
淋菌には、次のような特徴があります。
つまり、人のからだの中(性器)は日の光もなく、湿っていて、体温は一定なことから淋菌の格好の住処となっています。
淋菌は人から離れてしまうと、2時間ほどで感染力を失うとされています。
1回の性行為で感染する確率は30%と感染力も強いとされています。
1回でも淋病の感染経験があれば、二度と感染しないということはありません。
再び感染してしまうことがあるのでパートナーが感染した場合には、2人で検査や性病治療を受けることが大切です。
~耐性菌(淋菌)について~
人と淋病は戦いの歴史でもあり、抗生物質の歴史と一致することが多いです。
新しい抗生物質が登場するたびに、「淋菌は絶滅する」と言われてきました。
しかし、現状はどうでしょうか。
新しい抗生物質ができるたびに、薬に対しての「耐性」をつけ、淋菌はより強くなって生まれ変わっています。
良い例としてあげられるのが「スーパー淋菌」と呼ばれるものです。
専門家によれば、このスーパー淋菌に感染すると数日でショック症状を起こして死亡する可能性もあるとしていて、非常に危険で強力な淋菌も登場しています。
HIVは世界で毎年3000万人が死亡しているとされていますが、致死率はスーパー淋菌も同様との見方もされています。
淋病は命の危険もあるので、淋病検査や治療は早い段階で行うようにしてください。
淋病が感染してしまうのは、「あらゆる性行為」からとなっています。
通常のセックス ・・・ 性器への感染
オーラルセックス ・・・ 咽頭(ノド)への感染
アナルセックス ・・・ 肛門(直腸)への感染
産道感染 ・・・ 出産時に新生児へ感染
淋病は男性に多くみられます。
オーラルセックスを主のサービスとしている性風俗店を利用するのであれば、要注意です。
また、お風呂場やプール、便器、タオルなどから感染した例もあるので、子供や免疫力が低下した人は注意が必要です。