水虫・たむしとは
水虫・たむしとは、肌に強い痒み・ヒビなどの症状が現れる病気です。
どちらにも"虫"と付いていますが昆虫は関係なく、両方とも「白癬菌」という真菌(カビ)への感染によって起こる皮膚真菌症のことになります。
白癬菌は体の様々な箇所に感染する真菌で、感染した部位によって病名も異なるのです。
つまり、水虫とたむしは名前こそ違うものの、どちらも同じ種類の真菌が原因の病気のことになります。
また、白癬菌が原因となる病気をまとめて「白癬」と呼ぶこともあります。
ところで水虫と聞くと男性がかかりやすいイメージがありますが、実は白癬菌は年齢や性別に関係なく感染し、女性や子どもが発症する可能性もあります。
国内では5人に1人が水虫・たむしに悩んでいるとも言われており、意外と身近な病気なのです。
ここでは、水虫・たむしのように白癬菌が原因となる病気について詳しく解説します。
水虫・たむしの治療方法
水虫・たむしを治療するには、抗真菌薬を使った治療方法が主流となります。
ニゾラールクリームやジフルカンなど、通販で購入できる抗真菌薬もあります。
ですが白癬菌の感染部位によって症状が異なるため、ただ薬を使うだけではなく症状に合わせた剤型の選択も大切です。
抗真菌薬は「塗り薬」「スプレー剤」「内服薬」に分かれており、例えば足に起こる水虫の場合、症状によって次のような剤型が効果的です。
- 趾間型 ・・・ 塗り薬/ジクジクしている場合はスプレー剤
- 小水疱型 ・・・ 塗り薬
- 角質増殖型 ・・・ スプレー剤
- 足にできた爪水虫 ・・・ 内服薬
また白癬菌によって起こる感染症の治療期間は、症状によって異なるものの、例えばぜにたむし・いんきんたむしなら約2週間、水虫なら最低4週間は必要となります。
いずれもある程度の期間がかかるため、途中で薬の服用を中断せず、しっかりと治療を続けることが大切です。
水虫・たむしの症状
白癬菌が原因となる病気は感染部位によって呼び方が変わるように、その症状の現れ方も異なります。
■水虫
水虫の症状は主に次の3種類に分かれます。
①趾間型
趾間(しかん)型は足の指の間、特に薬指と小指の間に次のような症状が現れます。
- 皮膚が剥がれる
- 赤く腫れる
- 痒み
- 皮膚がふやけてジクジクする
など
これらは、水虫の中で最もよく見られる症状になります。
②小水疱型
指の付け根や"土踏まず"と呼ばれる部分に起こる症状です。
赤みを帯びた小さい水ぶくれが現れ、痒みを伴います。
③角質増殖型
痒みが無く、水虫とは判断しにくい症状です。
足の裏全体やかかとの角質層が厚く、硬くなります。
ひび割れを起こすこともあり、乾燥しているだけと勘違いされることも少なくありません。
他には角質が剥がれやすくなるという特徴もあり、家族へと感染することが多いので注意が必要です。
■手水虫
手水虫の症状も、足に起きた水虫と同様に「趾間型」「小水疱型」「角質増殖型」に分かれます。
特に角質増殖型の症状が起こりやすく、自分が手水虫であることに気づきにくいので注意して下さい。
しかし、足の水虫と比べると手水虫を発症することはほとんどありません。
■爪水虫
白癬菌が手足の爪に感染すると、爪水虫となります。
主に次のような症状が現れます。
- 爪が厚くなり、色が濁る
- 爪の表面がボロボロになり、筋のようなものが現れる
- 爪の周りに炎症が起こり、痛む
爪水虫は手や足の水虫よりも治療が長引いてしまいます。
治療せずに放っておくと他の爪にも白癬菌が感染することがあるため、早めに治療に取り組むことが大切です。
■ぜにたむし
体に白癬菌が感染した場合の症状になります。
最初に痒みを伴う赤いブツブツが現れた後に、コイン状の発疹へと変化します。
「体部白癬」とも呼ばれ、上半身だけでなく顔や手足の甲など、体のどこにでも症状が現れることが特徴です。
■いんきんたむし
「股部白癬」とも呼ばれる、陰部に白癬菌が感染した場合の症状です。
激しい痒みを伴う発疹が現れます。
こうした発疹は主に股間に現れますが、太ももやお尻にまで症状が広がることもあります。
■しらくも
白癬菌が頭に感染するとしらくもとなり、「頭部白癬」とも呼ばれます。
痒みはほとんどありませんが、主な症状には脱毛があります。
楕円状の範囲で抜け毛が目立つようになり、脱毛部位にはピンク色のフケのような鱗屑(りんせつ)が見られるようになります。
水虫・たむしの原因
前述したように水虫・たむしは「白癬菌」への感染が原因で発症する病気の名称です。
白癬菌が原因となる病気には、次のようなものがあります。
- 足に感染 ・・・ 水虫
- 手に感染 ・・・ 手水虫
- 爪に感染 ・・・ 爪水虫
- 体に感染 ・・・ ぜにたむし
- 股部に感染 ・・・ いんきんたむし
- 頭に感染 ・・・ しらくも
最も有名なのが足に感染した場合の水虫ですが、これには理由があります。
と言うのも、白癬菌は高温多湿の環境を好む性質があるのです。
つまり靴を履くため蒸れることが多い足は白癬菌にとっては過ごしやすい環境であり、多くの場合は足へと感染してしまいます。
しかし、白癬菌が感染してもすぐに病気を発症する訳ではありません。
白癬菌が傷ついた角質から体内に侵入し、なおかつ汗や皮脂、汚れが残っているなど菌が増殖しやすい環境が整っていることで、水虫などの症状が現れてしまうのです。
そのため予防するには感染しないように気をつけるだけではなく、皮膚を清潔に保つことも大切です。
水虫・たむしの感染経路
水虫・たむしは、人から人へと感染する病気です。
例えば水虫の場合は感染者の皮膚から剥がれ落ちた角質(アカ)、しらくもの場合だと髪の毛にまで白癬菌が潜んでいます。
よって、主な感染経路としては次のようなケースがあります。
など
水虫・たむしの原因となる白癬菌は、物・場所を介して感染することがほとんどです。
公衆トイレや温泉、スボーツジムなどの大勢の人が利用する公共施設、さらに家族間でのタオル・衣服や履き物などの共有、全てが感染経路となる可能性があります。
また、白癬菌は人だけではなく犬や猫などの動物に感染することもあります。
動物から人への感染はもちろん、逆に人から動物に伝染る可能性もあるので、ペットを飼っている方は注意が必要です。
このように白癬菌には様々な感染経路があるため、毎日の入浴時にはしっかりとからだをキレイにするようにして予防を心がけましょう。
加えて、自分が感染している場合はしっかりと治療をして、感染拡大を防ぐことも大切です。