不感症(FSD)とは
不感症(女性性機能障害)とは・・・性行為に対して「強い嫌悪感」や「性交痛」を引き起こす女性特有の性機能障害です。
環境の変化や身体の病気、ホルモンバランスの乱れなど様々な理由が絡み合って発症します。
日本人女性の2人に1人は不感症と言われており、日常生活にも支障をきたす可能性があります。
「パートナーのことを愛しているのに、セックスはできない・・・」
夫や彼氏に対して愛情はあるのに、なぜか「性行為」だけ受け付けられないという悩みを抱えてはいませんか?
それは女性が身体的、または心理的に性行為を拒む「不感症」、またの名を「女性性機能障害(FSD)」の可能性があります。
これと少し似たような症状で男性の場合には「ED(勃起不全)」があり、最近ではメディアなどでも取り上げられ、一般に知られるようになりました。
しかし女性が性行為に対して嫌悪感を抱いているというのは、病気だと判断されにくいのが現状です。
そのため不感症の女性はもちろん、その周りにいる夫や彼氏にもまだまだ認知度は高くありません。
不感症を正しく理解することで、性行為はもちろん私生活の質の向上にも繋がります。
不感症の定義
まず、どこから不感症と診断されるでしょうか。
医学的な定義として以下のようなものがあります。
- 性欲の低下
- 性感欠如(感じない)
- オーガズム欠如
- 性交時の痛み
- パートナーとの関係悪化
※性欲の低下には「性行為をする気がしない」または「する気があっても身体が反応しない」などがあります。
このように不感症は、女性が性交渉をする際になんらかの不満や問題が生じるということが定義されています。
また、16歳~49歳の日本人女性【2人に1人】が不感症といわれ、約30~50%の方が一生のうちどこかで「性機能の問題」を経験するというデータがでています。
そして性に対する考え方は時代によって大きく異なります。
近年日本では「性」に関して嫌悪感をもつ学生世代の若者が増えてきているのです。
日本性教育協会が行ったアンケートによると、「性交することに対し許容的」と答えた女子生徒は2005年で49.5%だったのに対し、2014年では40.6%まで減少しました。
反対に性行為に否定的見解を示した女子生徒は2005年から2014年までに約10%も増加し「自分に対する自信の無さ」などが大きく関係していると考えられています。
これまでの説明からも分るように、女性は相手のために深く悩んでしまい、なおさら性行為が苦痛になってしまうのです。
しかし性行為というのは男性が楽しむだけのものではありません。
男女両者が喜びを感じ楽しく行うものです。
そのためにも「不感症(女性性機能障害)」という病気を詳しく知ることが大切です。
~不感症が生活にもたらす影響~
不感症になると性行為に対する嫌悪感から、様々なことに影響を及ぼします。
冒頭にもお伝えしたように、男性のED(勃起不全)とは違い、不感症は認知度がとても低いのです。
そのためセックスやオーラルセックスを極端に嫌だと感じる女性のことをパートナーが理解せずにいると、2人の間にすれ違いが起こり「セックスレス」になってしまうかもしれません。
また不妊症で悩んでいる女性の多くは不感症が原因であることが考えられます。
「性交痛がひどいからセックスはしたくない・・・でも妊娠はしたい!」
こういった悩みを抱えている女性は少なくありません。
性行為中に強い痛みがある場合「子宮内膜症」の可能性もあります。
このように不感症が不妊の原因に繋がっていくこともあるのです。
不感症の改善
不感症になってしまうと日常生活でも楽しめないことが多くなります。
たとえば「パートナーとの性行為中、演技をしてしまう」「男性と接触することが怖い」「感じないためパートナーのことを本当にすきなのか不安になる」などと悩みすぎて、大きなストレスを感じてしまうことがあるでしょう。
では不感症を改善した先にどのようなメリットがあるのでしょうか。
不感症改善には以下のようなメリットがあります。
- 様々な男性と交流したいと思うようになる
- 友人と楽しく性についての話ができる
- パートナーをさらに好きになれる
- 悩み事が減り、前向きに性に対して考えられる
- 性行為は男女共に楽しむものという実感が湧く
不感症が改善されると、性行為だけではなく、私生活においても充実感や幸福感を得ることができるでしょう。
また不感症改善の手助けとして大きな味方になるのが女性用バイアグラであるラブグラという医薬品です。
男性のED治療薬と同様、効果が良く表れるので一度使用してみてはいかがでしょうか。
不感症の症状
不感症の症状には大きく分けて以下の4つがあります。
それぞれの症状を以下に説明していきます。
性嫌悪症
不感症の症状で「性嫌悪症」で悩んでいる方は多く、また近年増加傾向にあるのが特徴です。
性嫌悪症の症状には【性行為が嫌いでしょうがない】【パートナーとのセックスレス】があげられます。
これは過去のトラウマや性的なことが汚いという考えから起こります。
また場合によっては男性に触れられるだけで嫌悪感を抱く方がいます。
しかし性嫌悪症の方は行為が嫌いなだけで、性欲はあります。
そのため「性的欲求があるのに、セックスはできない」という状況に陥るのです。
男性でも性嫌悪症に悩んでいる方はいますが、圧倒的に女性が多いと言われています。
性興奮障害
性興奮障害は生理的なものが特徴で【膣が濡れない】【性行為中は痛いだけで苦痛】などの症状が表れます。
男性の性興奮障害はED(勃起不全)と診断されます。
これに対し女性は「膣潤滑不全」として表れ、ペニス挿入中に痛みを生じます。
そうすることによって、性嫌悪症につながりさらに性交渉を拒むようになるのです。
性交痛障害
性交痛障害は性行為の際に【ペニスを挿入時に激しい痛み】【陰部に触るだけでも痛い】などの症状があります。
これは膣が濡れていないため痛みを感じるというレベルではなく、指さえも入れることができないほどの痛みが出るのです。
またこの性交痛障害は以下の2つに分類されています。
膣痙
膣の炎症や収縮によってペニスをはじき出し挿入できなくなってしまう症状。
性交疼痛症
性行為中、膣に強い痛みを感じ最後までセックスをすることができない症状。
上記の症状が起きる場所は人によって違います。
外陰部で痛みを感じる方もいれば、骨盤内(膣の奥)で感じる方もいるのが特徴です。
オーガズム障害
オーガズム障害の主な特徴には【セックスでオーガズムを感じたことがない】【自慰(オナニー)だと感じる】などがあります。
これは性交時に女性が絶頂をむかえられないことを言い、さらに以下の3つに分類されます。
原発性オーガズム障害
一度もオーガズムを感じたことが無い。
心、身体に問題は無いが、性行為中や性器を触っても感じられない。(原因不明原発性オーガズム障害)。
二次性オーガズム障害
様々な理由によってある時期からオーガズムを感じなくなる。
※出産後・生理不順・怪我・病気・体調不良など。
特に出産後「二次性オーガズム障害」に悩む女性は多く、「産後クライシス」を引き起こします。
産後クライシスとは出産後2、3年で急速に夫婦仲が悪くなり、ひどい場合「夫から触られることすら気持ち悪くて嫌」となってしまう可能性もあります。
状況性オーガズム障害
相手や状況が変わるとオーガズムを感じなくなる。
またセックスでは絶頂をむかえることはできないが、自慰(オナニー)ではイケる。
部屋の明るさやパートナーの早漏が原因です。
これらのオーガズム障害は、相手に対して気を使いすぎる女性に多く見られるのが特徴です。
行為中にオーガズムを感じることは恥ずかしいことではありません。
~不感症は男性でもなる?~
「不感症=女性」というイメージは強いですが、実は男性でもED(勃起不全)の他に不感症の症状が表れます。
それは「男性膣不感症」です。
「射精障害」とも呼びます。
女性での不感症と同じように「自慰やオーラルセックスでは射精できるのに、膣内ではイケない」「挿入しているのに、気持ち良いと感じない」などの症状があります。
では何が原因で男性不感症は発症してしまうのでしょうか。
まずこの男性不感症は、性行為経験の少ない若い男性に多く見られます。
なぜなら自慰(マスターベーション)と女性との性交に「脳」が戸惑ってしまうことが考えられているからです。
自身で行うマスターベーションは、自分の調子に合わせて強さや速さを変えて射精まで至ることができます。
しかし膣内では自分の思うような刺激を得られないため、大きなギャップが生まれてしまうのです。
性行為での刺激は男女が一緒になって作り上げていくものということを忘れないようにしましょう。
不感症の原因
不感症は「気持ちの問題」と簡単に捉えられがちです。
しかし実際は、「心」はもちろんのこと、「身体」や「ホルモンバランスの乱れ」が複雑に絡みあって起こります。
このように不感症の原因を大きく3つに分類すると以下のようになります。
これらの各原因について、以下に詳しく説明していきます。
精神的/社会的原因
不感症になる一番多い原因として考えられているのが「心」からくるものです。
うつ病などの長期間のストレスや過度の不安が大きく影響し、他にも以下のような経験からも心理的不感症を引き起こします。
- 強姦(レイプ)体験
- 近親相姦
- 間違った性教育
- 親の過干渉
- 中絶、死産※
- パートナーのED(勃起不全)
※中絶や死産以外にも妊娠に関して、不感症に繋がるものがあります。
それは「避妊がしっかりとできているか」気にしすぎたり、反対に「出産することを強く期待する」などを考えすぎてしまい不感症になるといものです。
上記のように心理的な原因は多くありますが、実際のところ何が「根本的な要因」なのか特定できずに悩む方が多いです。
~男性のテクニックも大切?~
不感症女性の身も心も安心させ、その気にさせるには男性のテクニックも大変重要です。
自分本位のセックスではなく、女性の反応を観察してください。
焦らずにゆっくりと時間をかけて不感症の原因「緊張」をほぐしていきましょう。
他にもお互いどこを刺激すると気持ちが良いのかを探し、「言葉で伝えていく」と2人の間に一体感が生まれます。
不感症はパートナーの理解があってこそ乗り越えていけるものなので、男性は女性を大切に包み込むような気持ちでセックスを楽しんでください。
身体的原因
不感症の身体的な原因には以下のようなものがあります。
- がん
- 冷え性
- 腎機能低下
- 多発性硬化症
- 心疾患
- 膀胱の病気
- 抗うつ剤の服用
- 高血圧治療薬の服用
- 抗がん剤の使用
ただ性行為がしたくないという気持ちだけではなく、上記のように大きな病気が原因となっている場合があります。
特に女性に多く見られるのは「冷え性」が"血行障害"を引き起こし、不感症になるパターンです。
他にも服用しているお薬の副作用や成分によっては性欲が減退し不感症やオーガズムに達しなくなるものが存在します。
ホルモン的原因
女性ホルモンであるエストロゲンのバランスが乱れ、分泌量が低下すると不感症になります。
女性ホルモン(エストロゲン)が減ってしまう原因として考えられるのは以下のものがあります。
上記のような生活や状態が続くと、女性らしさを作り出すエストロゲンはどんどん少なくなっていきます。
このエストロゲンが低下すると、日常生活で些細なことにイライラするなど精神的な面の平静が保てなくなります。
また、身体的にも骨盤部分での血流が悪くなり陰部の感覚が鈍くなってしまうのです。
そうすると膣分泌液が極端に減り、濡れなくなることで、結果としてペニス挿入時に痛みを生じ不感症の大きな原因となるのです。
また女性の場合、美を追求するあまり行き過ぎたダイエットをすることによっても不感症になってしまう可能性があるため、無理はしないようにしてください。
~ピルの副作用~
避妊はもちろん、女性ホルモン(エストロゲン)のバランスを整え、生理不順や生理痛緩和など、様々な目的で低用量ピルを服用している方がいます。
実はピルの副作用の1つに、極まれにですが、不感症が報告されています。
しかしピルの副作用は個人差がありますので、必ず不感症に繋がるというわけではありません。