ドライアイとは
「目が乾く」のを始め、目に様々な症状が現れるドライアイ。
ドライアイとは涙の量が減ったり、涙の質が低下すること状態のことを指します。
そのためドライアイは目の病気、というよりも涙に関わる病気となります。
近年においてドライアイの患者数はとても多く、2003年に実施された調査では次のような結果が明らかになりました。
推定のドライアイ患者数 … 800万人
実際のドライアイ患者数 … 2200万人
このように、予想と現実の患者数には大きな開きがありました。
その背景にはパソコンや携帯などが普及され、生活の中でモニターを見る時間が増えたことがあると言われています。
今やパソコンや携帯は生活必需品とも言われ、ほとんどの方が毎日のように触れているはずです。
しかし、だからこそドライアイはどんな病気か理解することが重要になっています。
ここではドライアイについて症状や原因、治療方法などをまとめていきます。
ドライアイの定義(診断基準)
ドライアイとは、具体的にはどんな状態のことを表すのでしょうか。
国内でドライアイに関する研究や調査をおこなっている「ドライアイ研究会」は、2016年に次のような定義や診断基準を定めています。
以下は、ドライアイ研究会「ドライアイの定義と診断基準」からの引用です。
■定義
ドライアイは、様々な要因により涙液層の安定性が低下する疾患であり、眼不快感や視機能以上を生じ、眼表面の障害を伴うことがある
■診断基準
BUT5秒以下かつ自覚症状(眼不快感または視機能異常)を有する
これらの文章を言い換えると、まず定義に関しては「涙の異常」と「ドライアイ症状」の2つが必要となります。
涙の量や質に問題が起こり、なおかつ目が乾く・不快感があるなどの症状を自覚している場合、それはドライアイと定義付けされます。
一方で診断基準にある"BUT"とは「目を開いた時に涙が何秒間、角膜(黒目)の全体を覆っているか」を表す指標です。
BUTを調べるには、眼科でBUT検査を受ける必要があります。
ドライアイの治療方法
ドライアイの治療方法は、大きく3つに分かれます。
それぞれの治療方法について、簡単にご紹介していきます。
点眼薬による治療
ドライアイの症状が軽い場合は点眼薬、つまり目薬を使うことで治療が可能です。
目薬の使用は、ドライアイ治療において基本となる方法だと言われています。
目薬には様々な種類がありますが、それらの中にはドライアイ治療薬として用いられているものもあります。
涙の分泌を促す、涙の代わりに目を保護するなど種類によって効果も様々です。
涙点プラグ
目薬だけで治療できなかった場合のドライアイには、涙点プラグの使用も検討されます。
涙点プラグとは、簡単に言うと"涙点"という場所を専用のプラグでふさぐ治療方法となります。
ここで出てきた涙点とは、涙が排出される部分のことです。
涙点をふさぐと涙が目の表面にとどまることになり、ドライアイの改善につながります。
ちなみに目の中にプラグを取り付ける治療法なので、少し怖いと感じてしまうかもしれません。
しかしプラグを取り付ける時には痛みがなく、作業も5分程度で済みます。
その他
ドライアイは、日常生活の中に潜む様々な要因で悪化してしまう病気です。
そのためドライアイを悪化させる要因を、できるだけ取り除いていくようにしましょう。
例えばパソコンなどを使いすぎないよう適度に目を休ませる、部屋が乾燥している場合は保湿をおこなうなどの方法が有効です。
他にもドライアイ専用のメガネや、目を温めることなどもドライアイの予防に役立ちます。
ドライアイの症状セルフチェック
ドライアイの患者さんには、様々な目の症状が現れます。
ここではどんな症状があるのかを見ながら、ドライアイのセルフチェックをしていきましょう。
- 目が疲れやすい
- 目が乾いているように感じる
- モノがかすんで見える
- 目に不快感がある
- 目が痛い
- 目がすぐに赤くなる
- 目が重い感じがする
- 突然涙が出る
- 目がかゆい
- 光がまぶしく感じる
- 目がゴロゴロする
- 目やにが出る
これらの症状のうち、5つ以上当てはまった場合はドライアイの疑いがあります。
またその他、簡単にできるドライアイのチェック方法として「10秒間チェック」があります。
こちらは10秒間の間まばたきをガマンするという方法で、もしもガマンできなかった場合はドライアイの可能性が出てきます。
どちらのチェック方法にしても、不安がある時は眼科に相談することをオススメします。
ドライアイの原因
涙の病気とも言えるドライアイですが、ではなぜ涙に異常が起こるのでしょうか。
その理由は1つだけではなく、様々なものがあります。
ドライアイの原因としてまず考えられるのは、生活習慣です。
例えば次のようなことは、ドライアイの発症につながると考えられます。
- パソコンやスマホなどを長時間使用している
- 空気が乾燥した場所にいる
- コンタクトレンズをつけている時間が長い
- ストレスがたまっている
- 喫煙している
など
現代において子供から大人まで、ほとんどの方が毎日のようにパソコンやスマートフォンなどを使用しています。
これらは仕事やプライベートなど、あらゆる場面で欠かせないツールです。
ですがモニターを見ているとまばたきの回数が少なくなり、目が乾いてしまうのでドライアイを引き起こしやすくなってしまいます。
他にもコンタクトレンズを長い間つけていたり、喫煙やストレスなども目が乾きやすくなる原因になります。
また生活習慣だけでなく、シェーグレン症候群やスティーブンスジョンソン症候群などの病気が引き金となってドライアイを発症することもあります。
人の目は、涙によって保護されています。
しかしこれらの病気にかかると涙腺がダメージを受け、涙の分泌量が減ってしまうためドライアイへと発展してしまうのです。
その他にも加齢や薬の副作用など、様々なことがドライアイの原因につながります。