膣トリコモナス症とは
膣トリコモナス症(トリコモナス膣炎)とは、トリコモナス原虫という微生物が性器に侵入することによって発症する性感染症の1つです。
一般的に性病というと若年層の感染率が高い傾向がありますが、膣トリコモナス症は若年層から中高年層まで、幅広く感染者が見られています。
主な感染経路は性行為となりますが、例えば感染者とのタオルやトイレの共有など日常生活の中で感染することもあるため、性行為の経験がない女性や子供に感染する可能性もある性病となります。
予防のためには性行為の際にコンドームを用いるだけではなく、タオルやトイレなどを清潔な状態に保つ必要もあります。
感染した場合は男女で症状が異なり、女性の場合は悪化すると「不妊症」などの原因にもなります。
一方で男性は無自覚であることも多く、感染していることに気付かないまま感染の拡大やパートナーに再感染させるリスクもあります。
パートナーが感染していた時は、必ず一緒に検査や治療に取り組むことが大切です。
膣トリコモナス症の治療方法
膣トリコモナス症は、病院に行くだけではなく、検査キットを購入して自宅で検査することもできます。
感染していた場合、自然治癒する病気ではないため、必ず治療が必要になります。
膣トリコモナス症の治療には、フラジールなどの抗生物質が効果的です。
抗生物質は病院で処方してもらう他に、個人輸入代行サイトを利用して自分で購入することもできます。
自分やパートナーのためにも、感染が発覚した時はしっかりと治療をしましょう。
膣トリコモナス症の症状
膣トリコモナス症は、男性よりも女性の方が症状が強く現れやすい感染症だとされています。
ただし「潜伏期間」や「ウィンドウ期間」は人によって異なるものの、基本的には男女共通となります。
ウィンドウ期間とは、原虫や細菌などに感染してから、検査が可能になるまでの期間のことを指します。
膣トリコモナス症の平均的な潜伏期間とウィンドウ期間は、次のようになっているので、参考にしてみて下さい。
- 潜伏期間・・・10日
- ウィンドウ期間・・・2~3日
以下では、男女別の症状を解説します。
男性の症状
男性の場合、トリコモナス原虫は尿道に感染し、次のような「尿道炎」の症状を引き起こします。
- 排尿時の軽い痛み
- 尿道から膿のような分泌物
- 尿道に痒みや違和感
尿道に感染したトリコモナス原虫は、排尿時に洗い流されることもあります。
症状が出ないことも多く無自覚な方も少なくありませんが、まれに感染部位が広がることで「前立腺炎」や「精巣上体炎」を引き起こすこともあります。
また、感染したまま放置していると感染を拡大させてしまう恐れもあるので、パートナーがトリコモナス原虫に感染していた場合は必ず一緒に検査を受けるようにしましょう。
女性の症状
女性の場合、トリコモナス原虫は子宮の入り口にある子宮頸管や膣、尿道や膀胱などに感染します。
主な症状は次の通りになります。
- 泡状で異臭を放つオリモノが増加
- 外陰部や膣の痒みや痛み
- 性行為時の痛みや不快感
- 排尿時の痛み
オリモノの変化は特徴的であるため、このような症状が現れた時は膣トリコモナス症を発症している可能性が高くなります。
しかし、女性で感染した人の20~50%は症状が出ないため、感染に気付かない方も少なくありません。
放置していると感染が卵管まで進行し、不妊症や早産・流産などを招く危険性もあります。
膣トリコモナス症の原因
膣トリコモナス症の原因は「トリコモナス原虫」という原虫です。
原虫は、人への寄生部位によって次の4種類に分類されます。
- 腸に寄生する原虫 ・・・ 赤痢アメーバ、ランブル鞭毛虫など
- 血液・体組織に寄生する原虫 ・・・ マラリア、トキソプラズマなど
- 生殖器に寄生する原虫 ・・・ トリコモナス原虫
- 目(角膜)や脳に寄生する原虫 ・・・ アカントアメーバ、ネグレリアフォーレイなど
トリコモナス原虫は乾燥に弱く、湿った場所を好む性質があるため、人の生殖器は絶好の住処となります。
また、トリコモナス原虫は「鞭毛(べんもう)」という長い尻尾を動かすことで、自由に移動することができます。
よって、性器や口から人のからだに侵入したトリコモナス原虫は、自ら他の臓器に移動し、その移動先でさらに炎症を起こしてしまうこともあります。
その他、トリコモナス原虫は人だけではなく、犬や猫などの小動物に感染することもあるため、ペットや野生動物から感染する可能性もあります。
膣トリコモナス症の感染経路
膣トリコモナスの主な感染経路は、あらゆる性行為となります。
- 通常の方法で行われるセックス
- オーラルセックス
- アナルセックス
またトリコモナス原虫は人の体内でなくても、湿った場所や水中などで生き延びることもできるため、プールやトイレ、タオルの共有などの日常生活の中で感染する場合もあります。
そのため性病の一種ではあるものの、性行為を経験していない方でも感染のリスクがある感染症です。
その他、小動物に感染して下痢を引き起こすこともあり、感染した動物の便から人に感染する可能性もあります。
動物の便に触れた時はしっかり手を洗うように心がけましょう。